2007年04月11日

外科医の7割は、当直明けに手術をしており、約1割が訴訟を経験

外科医7割、当直明けに手術 病院勤務は週70時間

 外科医の7割が当直明け手術をしており、病院勤務では平均で週70時間労働――日本外科学会が会員1276人を対象にしたアンケートから、過酷な実態が浮かび上がった。約1割が医療訴訟も経験しており、同学会は「この状態が続けば、外科学会への新規入会者は2018年にゼロになる」と予想している。

 大阪市内で開かれた関西プレスクラブの月例会で4日、同学会長の門田守人・大阪大学教授(消化器外科)が発表した。

 調査は去年11月、インターネット上で回答を募った。勤務時間は平均週59.5時間。病院勤務では同68.8時間。労働基準法で定める週40時間を大幅に超過していた。

 当直明けの手術参加は「いつもある」31%、「しばしば」28%、「まれに」が13%。「当直明け手術はしない」は2%しかなかった。20〜40代では、約9割が当直明けに手術をしている。

 医療訴訟の経験が「ある」は、判決と和解を合わせて10%。ほかに「示談」11%、「訴訟準備などの具体的な行動」は15%、「患者や家族とのトラブル」は38%が経験し、85%が「訴訟が治療に影響する」と答えた。

 激務の原因は、高度な治療が増える一方、外科医数が減少しているためとみられる。全身麻酔の手術は96〜05年の10年間に約4万件増え、臓器移植や腹腔鏡など長時間の手術が増えたが、94〜04年で外科医は6%減った。特に新しく外科医になる人は20年前から一貫して減っている。アンケートでは志望者減少の理由に、労働時間の長さ、時間外勤務の多さ、医療事故と訴訟リスクの高さがあがった。

 門田教授は「過重労働や当直明け手術は、医療の質や安全性の観点からも問題だ。医師が訴訟に対し防衛的になれば、治療の選択肢がせばまり、患者への影響も大きい。国は医療費抑制の方針を抜本的に見直し、医師数の増加や過重労働の是正に乗り出してほしい」と話している。



 何で減ったかといえば、やはり過酷だからですかね。どうしても体育会系のような側面はありますし、切った貼ったの世界になってしまいますので、医学そのものの面白みを感じられないということも考えられます。それでも、治した、ということがはっきりわかるので、その分喜びも大きいと思いますが。

 当直明けの睡魔に襲われる状態で、何時間もたちっぱなしで手術をしていては、医者が患者になってしまいますよ。いくら体力勝負だといっても、そもそも体力勝負になるような現場がおかしいわけで。医者の環境作りを考えなければなりません、多少国が負担しても。日本医学会に権力がなくなった今、国側が自主的に働きかけないと、医療体制はどんどん崩壊していくと思います。

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posted by さじ at 02:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | NEWS
この記事へのコメント
人が少なく、分担量が増える。
疲労が溜まり、医療事故。

医者だって人間です。
ミスや事故もあるでしょう。
しかし、それは医者だけの問題でしょうか?


普段の生活を省みず、病気になったら病院に行けば良いや的な人間が増えていると思います。
医療が進歩への過信も、そういう意識の根底にあるでしょう。

そういう患者の増加も、医者の負担を増やしているのではないでしょうか。

その負担が回り回って、医療事故に繋がるのだと思います。

しかし、医療事故で責められるのは医者だけ。

それでは医者も減るでしょう。
悪循環ですね。
Posted by たっく at 2007年04月11日 22:23
お昼ごろにやっている健康情報番組が流れた翌日は、「私はこの病気なんじゃないか」という主婦層が爆発的に来院するそうです。

医者も大変ですw
Posted by さじ at 2007年04月12日 02:14
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