人工的に作成したリンパ節を免疫力の低下したマウスに移植し、免疫機能を正常マウスの約20倍に高めることに理化学研究所が成功した。高い免疫力は1カ月以上持続した。免疫力の強化は、エイズなどの重症感染症やがんなどの治療に有効だという。15日付の米基礎医学専門誌(電子版)に掲載される。
リンパ節はわきの下や頚部などにあり、ヒトの体に入ったウイルスなどの異物(抗原)が運ばれてくる組織だ。リンパ節中の免疫細胞が異物と結合すると免疫反応が始まり、異物を排除する抗体を作り出す。
研究チームは、たんぱく質の一種のコラーゲンを3ミリ角のスポンジ状にし、免疫反応に重要な2種類の細胞を染み込ませた。これを正常なマウスの体内に移植すると、リンパ節に類似の組織ができた。複数の免疫細胞が本物と同じ比率で存在し、血管も形成された。
この人工リンパ節を、免疫不全症を起こしているマウスに移植したところ、異物に対する血中の抗体量が正常マウスの約20倍にも高まり、1カ月以上持続した。
なんだかずいぶん簡単なつくりですが、これだけで正常に免疫作用が起こるんですねぇ。ただ免疫細胞を注入して免疫反応を高めるのではなく、リンパ節という「工場」のようなものに類似の器官を作れたという点が大きなポイントでしょう。この技術で免疫不全を補ったりすることも夢ではないかもしれません。