理化学研究所の原正彦・局所時空間機能研究チームリーダーらは、土壌にいる微生物の粘菌を使った「生物コンピューター」の基本原理を考案した。現在のパソコンなどが苦手とする新しいアイデアや発想を生み出す計算に向くという。実用化には時間はかかるが、人間のような柔軟な思考が可能なコンピューターを実現
できるとみている。
考案した生物コンピューターでは、情報処理の基本単位であるトランジスタの代わりに粘菌の習性を利用する。エサを求めて成長する粘菌の周りに光を当てると、粘菌がいくつかの決まった形になる。光を「入力」、形を「出力」として計算に利用する仕組み。
現在のコンピューターは一個のトランジスタで「1」「0」の二つの出力を出すが、粘菌だと一個で十通りの結果が出る。正確な答えを素早く求める計算には向かないが、答えが導きにくい複雑な問題でいくつかの選択肢を示したり、意外な発想を生んだりするコンピューターになるという。
理研は新原理に基づくコンピューターの特許を出願した。近く粘菌を使って計算ができる回路を作り、実際の問題を解く実験を始める。
人間のような新しいアイデアや発想を考えるための新タイプのコンピューター開発は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)なども取り組む。
新しいコンピューター。凡人である私には、どうやって粘菌で「計算」を行うのかさっぱり分かりませんが…。光を当ててその方向に動くという習性ならば、現在のコンピューターでも再現できると思うんですが。粘菌シミュレーターとかで。しかしMITや理研が主張してるということはおそらく可能なのでしょう。単純な命令しか動かない粘菌が、人間の知恵によって操作された場合、その粘菌も高度な知恵を発揮するということでしょうか。ということは人工知能も可能になってくるのでは。