公務員の飲酒運転が相次ぎ、厳罰化が進む中、今回のケースで珍しいのは、この教諭が飲酒を否定し「酒かす汁を2杯食べただけ」と主張していることだ。
神戸市教育委員会教職員課によると、この教諭は06年9月15日夜、友人の教員宅で食事をし、酒かす汁を2杯食べた。その約2時間後に車で帰宅している途中に検問を受け、呼気1リットル中0.15ミリグラムのアルコールが検出された。道交法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検され、神戸簡裁で罰金20万円の略式命令を受けた。
しかし、この教諭はこの事実を上司には報告せず、06年10月に外部から勤務校に通報があり発覚。校内調査に対しては摘発の事実を認めなかったが、市教委が事情聴取に乗り出して初めて認めたという。本人は「酒かす汁で処分されるのが納得できなかった」などと話しているという。
日本酒を作る際は、米を蒸したものに麹などを加え、発酵させる。これを搾った液が日本酒で、その残りが「酒かす」だ。教諭は、これが原因で規定を超えるアルコールが検問時に検出された、と主張しているのだ。確かに、神戸で酒かすを扱う老舗の「小林春吉商店」によると、酒かすは8〜9%のアルコール分を含むという。
「酒かす汁では酔っぱらわない」と断言
だが、同商店では、「酒かす汁では酔っぱらわない」と断言する。
「いえ、そんな(酒かす汁で検問に引っかかる)ことは考えられないと思います。酒かす汁は、酒かすや、こんにゃくなどの材料を10分間煮立てて作ります。アルコールの沸点は70度で、水の沸点は100度。煮立てている間に、ほとんどのアルコール分は飛んでしまい、0.01%ぐらいしか残りません。よっぽどの特異体質でない限り、酔っぱらうことはないと思います」つまり、「下戸や未成年でも美味しく食べられる」という訳だ。
一方の市教委教職員課は「(規定値を超えたアルコールの)数値が現に出ているのと、それを報告しなかったことから処分を行った訳ですが、(飲酒はしていないという)本人の主張を信用せざるを得ません。本人と食事をしていた友人の教員も『酒かす汁は食べさせたが、アルコール類は出していない』と言っていますし」と、「酒かす汁を食べただけ」という主張を受け入れざるを得ない、という立場だ。
ちなみに、神戸市は06年9月26日から「職員による飲酒運転は原則懲戒免職」という指針を打ち出している。だが、この教諭が摘発されたのは、その直前の9月15日だったため、懲戒免職は免れた。本来ならば停職6ヶ月の処分が明ければ現場に復帰するはずだが、この教諭はすでに退職願を提出し、3月26日に受理されている。
アルコール分がほとんど全て飛んでしまうということはすなわち酔っ払うはずがないということですね。本人と友人の言い分を信じるしかないのでしょうけれど、要するに「そういうこと」ですよね、おそらくですが。
そういうことって何?
お酒弱い人っていうのは、ほんのわずかでも、それが本人にも感じられないくらいでも、酔っ払うんだよ。
酒かす汁は調理法上、アルコール分が飛ぶので酔っ払うはずがないということで、酒かすとは別物ではありませんか?