薬品や薬の副作用で角膜の表面が大きく傷ついたため起きる視力低下の治療に欠かせない角膜上皮組織を、1個の角膜の細胞から作製することに東京大病院の研究チームが成功した。
これまでは角膜の正常な部分を2平方ミリ・メートル採取して培養する必要があったが、今回の方法を使えば、組織のもとになる幹細胞が1個でも採取できれば、視力回復につなげることが期待できるという。横浜市で開かれている日本再生医療学会で13日、発表した。
同病院角膜組織再生医療寄付講座の山上聡客員助教授と横尾誠一助手らは、人間の角膜から黒目周辺の角膜輪部という部分を採取し、酵素でバラバラにして培養した。その結果、約1週間で直径約0・3ミリの塊になり、3週間後には直径約2センチのシート状の角膜上皮組織ができた。この組織は通常の角膜上皮組織と同じ三次元構造をしていた。
山上客員助教授は「数年以内の臨床応用を目指したい」と話している。
おお凄い。角膜の臓器移植は数が足りませんが、この技術が臨床的に応用できればかなりの人の視力が回復すると思われます。たった1個の細胞からでも培養してシート状に出来るとは、驚くべき再生医学です。
21世紀は再生医学の時代です。2007年はどんな進歩が見られるのか、期待は高まります。
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