繊維工場で綿ぼこりを多量に吸い込んでいる人ほど、肺がんになりにくいという調査結果を、米中の研究チームが米国立がん研究所報にて発表したという、一見「逆じゃないのか?」と言いたくなるような記事が読売新聞に掲載されている。
非常に短い記事で、綿ぼこりに含まれる細菌の毒素エンドトキシンが免疫系に影響を与えているという推測だけが書かれている。ということで調べてみると、Medical News TODAYに関連する記事を見つけた。
記事中には上海での綿の織物工場の労働者である女性をサンプルにして調査した結果、平均的な上海出身の女性の100,000につき19.1という肺がん発病率が、エンドトキシンへ20年間の暴露を経ることで100,000につき、7.6にまで下がっているということだ。メカニズムはやはり分かっていないようだが、何だか興味深い話である。
意外とこういう統計から効果が分かることもあるんですよね。ダイナマイト工場で働いている人の狭心症の割合が少ないとかで、ニトログリセリンが関与していることを導いたとか。どんな関連があるのかは分かりませんが、数年後あっと驚く効果がみつかるかもしれません。
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