関節を痛める心配が少ない軽い負荷の運動で、激しい筋トレに匹敵する効果が得られると、「加圧トレーニング」への関心が高まっている。介護予防への期待も大きく、東大病院などでも研究が進んでいる。
「65歳を超えるとドライバーの飛距離が年10ヤードずつ落ちていくと言われるが、なんとか維持したくて……」。ゴルフが趣味という東京・府中の谷ヶ崎(やがさき)昇さん(70)が、5年前から始めたのが加圧トレーニングだ。近くのジムで週1回、10〜15分の運動を続け、今も250ヤードの飛距離を保つ。
加圧トレーニングは、腕や足の付け根を専用のベルトで圧迫して、腕、足の曲げ伸ばし、軽いダンベル運動などを行う。トレーニングジムを経営する佐藤義昭さんが発明した方法で、1回のトレーニング時間は、腕なら5分、足なら15分。週2回程度が目安。
通常、筋力強化には、最大発揮できる力の65%以上の高い負荷が必要とされるが、この方法は10〜30%でも効果が得られるという。東大大学院新領域創成科学研究科・客員教授の安部孝さん(健康スポーツ科学)によると、カギは「血流制限」。筋肉内の血流がうまく制限されると、実際の負荷以上に「きつい」と感じ、成長ホルモンなどの分泌が促進され、筋肉内のたんぱく合成が増幅されるという。
負荷が軽いので、関節を痛めにくいだけでなく、筋肉痛も残らないのが特徴だ。
谷ヶ崎さんも、腕と足の3点セットと、ウオーキングなどの軽い運動が基本だったが、「3か月ぐらいで足腰の強化が実感できた」。その後、ゴルフスイングなどのメニューも加え、腕回りは26センチから35センチに、太ももは46センチから53センチに太くなったという。
ところで、血流を制限して体に悪くないのか――。東大病院22世紀医療センター助教授の中島敏明さん(加圧トレーニング・虚血循環生理学)らが、健康な人のべ1万5000人に行った調査では、一時的な皮下出血が1割程度にみられるものの、事故はないという。ただし、「過度の圧力を加えたり、長時間続けたりすれば、血栓が出来る恐れもある」という。
数年前からプッシュされていますね、加圧トレーニング。中高齢者だけでなく、スポーツを行う若者も実施しているとか。腕にチューブみたいのまいてガーって動かすことで、軽い負荷でもかなりのトレーニング量に匹敵するらしいです。でも素人がやると危険なので必ずスポーツドクターの支持にしたがって下さい。筋力アップは熟練者がいないと怪我しますから。
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