北大獣医学部の奥祐三郎・助教授(寄生虫学)らのグループが後志管内倶知安町で行ったエキノコックス対策の実験で、同町内のエキノコックスが2年間でほぼ根絶された。
感染したキツネが多い地区を調査し、駆虫剤入りの餌を集中的にまいて寄生虫を排出させる方法により、短期間で成果が上がったため、道内での対策が大きく前進しそうだ。
寄生虫・エキノコックスはキタキツネの腸内で卵を産み、ふんとともに排出された卵がヒトの口から入ると症状を引き起こす。
倶知安では二○○五年から二年間実験し、一年目はまず町内でキツネのふんを採取し、感染率を調べた。この結果、約二百七十個のうち、12%から虫卵が見つかった。さらに虫卵入りのふんのあった場所を地図に落とし、感染率の高い地区を特定。二年目はこれらの地区に集中して、五月から十一月まで毎月一回、千数百個の駆虫剤入りの餌をまいた。
この結果、二年目に採取したふん百四個の中に、虫卵は全く発見されなかった。わずか二年間で倶知安町ではエキノコックスが根絶されたことになる。同じ方法はこれまでに、網走管内小清水町などでも成功しているが、虫卵がなくなるまで数年を要していた。今回は感染したキツネの多い地区に集中して餌をまいたことで、著しい効果があることが分かった。
奥助教授は「全道一斉に、同様の方法をとれば、北海道からエキノコックスをなくすことも夢ではない」と指摘する。
倶知安の実験には、「NPO法人WAOニセコ羊蹄再発見の会」など地元の人たちが協力した。同会の古谷和之理事長は「倶知安で根絶しても、よそから卵を持ったキツネが入ってきては元のもくあみ。近隣町村の人たちとも協力して、来年以降も散布を続けたい」と話している。
駆除剤入りのエサを撒くだけで劇的な効果ですな。国もお金を出して、北海道で一斉に行えばエキノコックスによる感染症もなくなるかもしれません。