ライオンは7日、乳由来の多機能タンパク質「ラクトフェリン」が、各種疾患原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防につながる効果を持つことを突き止めたと発表した。今夏までにラクトフェリンを含むサプリメントやオーラル(口腔)ケアなどのメタボ予防商品を発売する方針。
今回の研究成果は大別して2つある。1つは、ラクトフェリンが細胞の脂質成分の一種であるコレステロールの体内生成を抑制すると同時に、体内での分解を加速する効果を明らかにしたこと。これは世界初の成果となる。マウス利用の実験で効果を確認済みで、現在、人間による臨床試験も進めている。
実験では過剰に高コレステロール飼料を与えたマウス群にラクトフェリンを投与し、血中の総コレステロール量の変化を調べた。
高コレステロール飼料を与え、ラクトフェリンを投与しない群は、通常飼料で飼育した標準群に比べコレステロールは約13倍となった。一方、高コレステロール飼料を与え、ラクトフェリンも投与した群は標準群に比べて約5・3倍で済み、投与しない群に比べて上昇分を半分以下に抑えた。
もう1つの成果は、ラクトフェリンが歯周病菌から発生する毒素「LPS」を解毒する効果を確認したこと。
LPSはコレステロールの生成を増加させるとともに、中性脂肪の分解も抑制することが分かっている。このため、LPS解毒により、メタボにつながるこれらの体内の働きを正常化できることになる。
この実験では、マウス群にLPSを摂取させ、ラクトフェリンの投与の有無で、血中の総コレステロールと中性脂肪の各量の変化を測定した。
コレステロールは、非投与群は標準群(LPS非摂取、ラクトフェリン非投与)に比べて26%増加したが、投与した群は17%増にとどまり、9ポイント改善した。また、中性脂肪は非投与群は標準群に比べて59%増加したが、投与群は23%増で済み、実に36ポイントの改善効果を示した。
元々ラクトフェリンは身体に良いものとされています。さらに今回解明された、メタボリックシンドロームに対する作用などからも、一大ラクトフェリンブームは起きるんじゃないですかね。とりあえず、摂っとけって感じで。牛乳飲んどきましょう。
ラクトフェリン
母乳や牛乳など、ほ乳類の乳に多く含まれている鉄結合性タンパク質。「ラクト=乳」の中の、「フェリン=鉄を結合するタンパク質」から名付けられた。特に出産直後の初乳に多い。鉄を結合する力が非常に強く、この性質により、微生物から鉄イオンを奪うことで抗菌作用を発揮する。また、腸内の悪玉菌などを減らす機能もある。健康維持にかかわる各種の役割を持つタンパク質として注目され、国内外で研究が進んでいる。牛乳から取り出されたラクトフェリンは、サプリメントに配合されるなど、市場投入されている。
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