熊本大発生医学研究所(熊本市)の西中村隆一教授(49)らの研究グループは、ダラードと呼ばれる遺伝子が腎臓の維持に重要な役割を担うことを、マウスを使った実験で発見し、29日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
西中村教授は「人間の先天的な腎疾患には原因が分かっていないものが多い。腎疾患がこの遺伝子と関連があるとすれば、治療法の解明につながる可能性がある」と話している。
同大の阪口雅司研究員(34)=米ハーバード大研究員=らとの共同研究。胎児期にダラードを欠いたマウスは、出生後数週間以内の小児期に、腎臓の中心部が細胞死を起こして空洞化し、死亡した。
ダラードは、細胞死を起こすBMPという遺伝子などの働きを抑える役割がある。一方、ダラードのないマウスに、BMPの働きを阻害する薬を与えることで、腎臓の機能を維持できることも分かった。
今研究では、ダラードを欠いたマウスでも腎臓は正常に形成されることも判明した。ただ、小児期に腎臓が成熟する過程は十分に解明されておらず、西中村教授は「この分野を研究することで、小児期の腎不全の原因などを解明できるかもしれない」と話している。
腎臓の細胞を維持にするのに重要な遺伝子の発見ということです。勿論、機能そのものにも影響を与えるので、小児期に正常な腎機能を維持するためにも更なる研究が必要のようですね。腎機能は、移植で回復させるか、透析で凌ぐかしかないような状況なので、是非ともこういった研究の発展に期待したいところです。