情報通信研究機構(NICT)は2月7日、はっきり目覚めている時と少しウトウトしている時に、機能的磁気共鳴画像(fMRI)と脳波を同時に計測し、脳内での情報の伝達効率を複雑ネットワーク解析で分析した結果、何もしていない安静時でも、ヒトの脳では複数の領域が協調しながら活動して情報をやりとりしており、眠くなるとこれらの領域間の情報伝達が非効率的になることを明らかにしたと発表した。
日常的に眠くなってウトウトしている(まどろみ状態)と、刺激を見落としたり、素早い反応ができなくなるといったことは誰でも経験しているようなことながら、実はその仕組みはよく分かっておらず、これまでの研究より、まどろみ状態でも脳の一部分は刺激に対して反応することが判明していることから、脳領域間の情報の受け渡しが悪くなっている可能性が考えられるものの、それをはっきりと証明した研究成果はこれまで報告されていなかった。
今回の研究では、fMRIを用いることで、まどろみ状態でこの安静状態のネットワークが変化しているのかどうかの解析が行われた。しかし、通常のfMRIの実験では、実験中の被験者がはっきり目覚めているのか、眠たいのかは知ることができないため、特別な脳波計測装置を用いて、fMRIと同時に脳波の計測を実施、はっきりと目覚めている状態とまどろみ状態(睡眠段階1)を区別する形で計測が行われた。
その結果、まどろみ状態では、安静状態ネットワークの情報伝達効率が低下していることが明らかになったほか、「意識」との関連が深いとされる「前頭連合野/頭頂連合野」で特に情報伝達効率が低下していることも判明し、まどろみ状態では、脳内のネットワークのつながり方が変化し、素早く正確な情報の受け渡しができにくい状態になっていることが明らかにされた。
眠いかどうかを迅速に判断するには、記事中にもあるように脳波の測定が有用です。睡眠脳波に移行するとき、脳波上では大きく変化が起こります。そのため、睡眠脳波も測定する必要があるので、脳波検査はだいたい30分ぐらいかけて行われるのです。
効率よく仕事するには日中15分程度の睡眠が有用というのも、こういった情報伝達を元に戻す必要があるからでしょう。より明確に機序が分かれば、シェスタ文化を日本アレンジで取り入れることで人為的ミスを減らすことも出来るかもしれません。