トラウマ的な出来事の記憶は、その体験者によって抑圧されるのではなく、はっきりと再現され得るという。カナダの研究者が5年にわたる聞き取り調査の結果として報告した。
有名な精神医学者のフロイトは、恐ろしい出来事の体験者はそれに対処するためにつらい記憶を抑圧するという理論を導いた。
しかし、ハリファックスにあるダルハウジー大の研究チームの報告によると、楽しい出来事は不幸な出来事よりも思い出されにくいという。
同チームでは、性的暴行やドメスティック・バイオレンスなどのトラウマ経験者29人に対し、それぞれのトラウマ体験と楽しい経験について聞き取り調査を実施。その3カ月後と4─5年後に再び同様の聞き取り調査を行い、結果を比較した。
報告をまとめたスティーブン・ポーター氏は、インタビューで「時間とともに急激に劣化する楽しい記憶と比べ、トラウマの記憶がどれだけ維持されるか、また今回の調査結果とわれわれが過去数年間に見聞きしたものと全然違ったことには心底驚いた」と語った。
私も、楽しい記憶より辛い記憶のほうが鮮明だと思いますが、それと、フロイトの言っていることとは若干ニュアンスが異なるのではないでしょうか。しいていえばトラウマの度合いによるものの違いだと思います。あまりにもつらい、まさしく「トラウマ」的事象は、自己防衛のために心の奥にしまわれてしまうのではないですかね。ただつらい出来事ならば、思い出すたびにストレスを感じる程度で。
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