人口密集地の首都圏で新型インフルエンザが発生した場合、最初の患者の診断が確定した時には、感染者は首都圏全域で約3000人にも広がっている可能性があることが、国立感染症研究所の試算でわかった。
大都市圏での感染の早期封じ込めが、極めて困難なことが裏付けられた。
大日康史・同研究所主任研究官らは、首都圏在住者88万人の移動パターンを調べた東京都市圏交通計画協議会のデータを使い、新型インフルエンザの感染拡大の様子をコンピューターで試算した。
アジアかぜ(1957年)や香港かぜ(68年)など、過去の新型インフルエンザの潜伏期間は1〜3日。そこで、東京・八王子市の会社員が新型インフルエンザが流行している海外で感染し、その潜伏期間中の3日目に帰国したと想定。翌日の4日目には発熱症状が出始めたが、東京駅周辺の会社に通勤し、5日目に会社で倒れるまで2日間、電車や会社、家庭などで感染を広げる最悪のケースを考えた。
会社員の1メートル以内に近づいた人は感染するとして試算した結果、感染者は4日目に30人、5日目には154人。会社員から採取したウイルスが、検査で新型インフルエンザウイルスと確認された7日目には、3032人にまで膨れあがった。
厚生労働省が先月示した新型インフルエンザ対策指針案では、発生初期は限定的に指定した医療機関に可能な限り患者を収容して、感染拡大を抑え込む方針だが、今回のケースでは、それだけではとても間に合いそうもない。
新型インフルエンザが海外で流行した場合、通常、その地域への渡航自粛が呼びかけられ、帰国時の検疫も強化される。症状があれば隔離されたり、自宅待機を勧められる。
今回の試算は考えられる最悪のシナリオを想定したが、大日主任研究官は「もし大都市圏で患者が発生したら、早期に大流行に対応する体制をとり、広範囲に自宅待機や休校などの対策を実施するべきだ」と指摘する。今後、電車通勤が少ない地方都市でのケースも試算する方針だ。
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どうしてもそのぐらいになってしまうでしょうねぇ。インフルエンザが流行するもの、そして最悪の場合は死に至ることを考えると外出せずに養生するほうがいいんですが、日本ではそうもいってられないですからね。社会に出てしまうとどうしてもインフルエンザでは休めないといいますか…。
新型インフルエンザ:鳥などの動物に流行するインフルエンザA型ウイルスが変異し、人から人へと感染しやすくなったもの。厚労省の推定では、新型インフルエンザが国内で大流行した場合、25%の人が感染し、最悪のケースでは200万人が入院して、64万人が亡くなるという。同省は1月、感染拡大を最小限に食い止める「早期対応戦略指針」など、国や自治体、国民が取るべき対応策の基本方針を定めた12指針案を公表、今年度中に決定する。
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