ギリシャの成人2万人以上を対象に昼寝の健康効果を調べた研究で、「昼寝をすると心臓疾患で死亡する確率が低くなる」との結果が出た。特に、働いている男性で大きな効果がみられたという。
アテネ大医学部のデミトリオス・トリホプロス博士らが研究をまとめ、このほど医学専門誌に発表した。同博士らのチームは、20歳から86歳までの健康な男女2万3681人を平均約6年間にわたって追跡。昼寝をするグループとしないグループとの間で、心臓疾患による死亡率を比較した。その結果、週に3回以上、約30分間の昼寝をすると、死亡率が37%低くなることが分かった。食生活や運動、喫煙など、心臓疾患に関連するとみられるほかの要素を考慮しても、昼寝の効果は明らかだったという。チームによれば、昼寝の影響をこれだけ大規模に検証した研究は、過去に例がない。
就労男性への効果が目立ったことについて、トリホプロス博士は「実際には女性も同様の恩恵を受けるのかもしれないが、研究の対象となった女性のうち、期間中に死亡した例自体が少なく、立証には至らなかった」と説明している。
男女を問わず、仕事などでストレスがたまると、ホルモンの分泌状態が変化して心臓に負担がかかるうえ、暴飲暴食や喫煙、運動不足などにより、生活全体が不健康になりがち。昼寝には、こうしたストレスを軽減する作用があるとみられる。「昼寝はできるだけ実行すべき。職場にソファがあれば、そこでくつろぐのもいいだろう」と、トリホプロス博士は話す。
ギリシャなどの地中海沿岸地域はもともと、心臓疾患の発生率が比較的低いことが知られている。これまで、野菜や果物を中心とした食生活の影響などが指摘されてきたが、博士らの研究は、同地域に広く浸透している昼寝の習慣も一役買っていることを示した形だ。ただ専門家の間には、「昼寝の習慣がある国で、それを破ってまで仕事を続けるのは、もともと健康に気をつけていない人たち。心臓疾患が多いのは当然だ」とする声もあり、チームでは今後、さらに詳しい研究を進める構えだ。
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どうしても睡眠不足になりがちな現代人にとって、昼寝は効果があるといわれていましたが、心臓疾患にも効果があるほどとは。身体に強く反映されるようですね。日本人も「シェスタ」として導入してみては?仕事の能率もあがると思いますよ。
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