がんなどの痛みを和らげる医療用麻薬を、在宅でも使いやすくするため、厚生労働省は国の麻薬管理マニュアルを初めて改訂した。患者本人が手元で薬を管理できるようにするなど、規制を大幅に緩和した。がん対策基本法が施行される4月を前に、自宅で行える緩和医療を受けやすくし、患者の生活の質を高めるのが狙いだ。
モルヒネなどの麻薬は乱用防止のため、麻薬取締法で管理の仕方が厳しく制限されている。一方で、適切に使えば、意識を残したまま、痛みだけを取り除くことができ、医療用麻薬の需要が高まっていた。
このため、厚労省研究班が89年度、医療従事者向けに使用の注意点をまとめたマニュアルを作成。調剤や患者への受け渡し、管理、廃棄などの仕方をまとめた。ただ、薬は薬局やナースステーションで管理し、受け取りは患者本人か家族に限っていた。
しかし、胃で少しずつ溶ける飲み薬や、張り薬などが発売されたことなどから在宅使用が広がり、国内の使用量はこの15年間で約10倍になった。また、「在宅患者が増えた今、マニュアルの医療用麻薬の基準は厳しすぎる」という声が在宅ケアの現場などから出ていたことなどから、厚労省は、専門家による検討会を設置。マニュアルを昨年末に改訂した。
改訂後、患者自身が自宅で薬を保管できるようになった。患者が希望すれば看護師やホームヘルパー、ボランティアなどが薬を取りに行き、患者に届けられるほか、処方箋(しょほうせん)をファクスで送り、調剤を始めてもらえる。薬局などから患者が遠くにいる場合、書留便で送ることもできる。
厚労省は「緩和医療を適切に行う」と明記する、がん対策基本法の施行に合わせ、07年度中に医療従事者向けの講習会を開き、使用実態の調査なども行い、さらに適正使用を促す方針だ。
在宅ケアに携わってきた「ホームケアクリニック川越」(東京都墨田区)の川越厚院長は「独居や老人世帯の患者が増える中、ヘルパーなどに薬を届けてもらえるようになったのは画期的だ。夜に突然痛みを感じても薬剤師を起こすほどではないと我慢してきた患者が、自分の判断で使えるようになったという点でも意義は大きい」と話した。
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いい改革だと思います。痛みで苦しんでいる在宅療養者がいるのですから、そこは法改正でカバーしないと。
しかしこういう改革を行うときには、「悪用されたら困る」って考え方が絶対出てくるでしょう。なんか、嫌ですよねそういうの考えるのは。現実だからとしても、悪用する馬鹿のことまで考えなければいけない、もしかしたらその馬鹿がいるせいで痛みに苦悩する人たちが苦しみ続けるのかもしれないのに。今回はそういった事態にはならず、素晴らしい決断をしたと思います。
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