日本産科婦人科学会の医療提供体制検討委員会(委員長=海野信也・北里大教授)は、全国的な産婦人科医不足への対策(中間報告)をまとめた。
医療事故をめぐるトラブルの解決に国の支援を強く求めたほか、24時間救急対応できる「地域産婦人科センター」の整備の必要性などを盛り込んだ。現場の産科医や一般市民の意見を聞いた上で、4月の同学会総会に報告する。
産科は他の診療科に比べ医療事故が多く、特に最近は、産婦人科医の刑事責任が問われる事件が相次いでいる。現場の士気にマイナスの影響を与えるだけでなく、研修医の産科離れを加速させる可能性がある。
中間報告は、〈1〉医療事故の事実関係や責任の所在を解明する「原因究明機構」の設立〈2〉出産に伴う事故について、医師の責任の有無を問わずに患者側に補償金を支払う「無過失救済制度」の整備・充実――などを国に求めた。刑事訴追は、原因究明機構による告発を受けて検討されるのが望ましいとした。
また、人口30万〜100万人の地域ごとに、産婦人科医を10人以上集めた「地域産婦人科センター」を整備することも提言。地域の病院や診療所、助産所に対しては、互いに連携し、妊婦の容体急変から30分以内の緊急帝王切開に対応できる体制づくりを目指すよう求めている。
無過失救済制度 医療事故の被害者を早期に救済するのが狙い。医師側は訴えられるリスクが減る。厚生労働省は8月にも、出産で脳性まひになったケースを対象に始める。中間報告は、この制度をすべての出産事故に拡大することを求めている。
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医者にとっては今の時代が一番生き辛いのではないでしょうか。訴訟というものは必要なものだとは思いますが、タイムテレビすらないこの時代、どうやって医者の善悪を判断するのか、というと、結局裁判長のさじ加減ひとつで決まってしまうようなところがあります。原告側は最愛の子供に障害が、とか命を失ったとか、何でもいえますが、医者はただ助けようとしていただけでして、100%成功する出産法などないのに、訴えられてしまうのです。
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