人類は、アフリカから世界中に広がり始めた約6万年前にすでに胃がんの原因とされるピロリ菌に感染しており、共に進化しながら各地に広まったことを独米などの国際チームが突き止め、8日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
ピロリ菌の進化を追うことで、各人類集団の起源がより詳しく解明できる可能性があるという。
人の遺伝子を分析すると、人類がアフリカから他の大陸へ広まった経路沿いに、遺伝的により異なる集団が生じてきたことがわかる。研究チームは世界51民族769個のピロリ菌を集めて遺伝子を分析し、ピロリ菌でも同様な進化が起きたか調べた。
その結果、ピロリ菌はヨーロッパ、アジア、アフリカなど地域別に6グループに分けられ、人の遺伝子と同様に、アフリカから離れるほど集団間での違いが大きくなることがわかった。
さらに、ピロリ菌の遺伝子の変異速度から逆算して共通の祖先を求めると、約5万8000年前のアフリカで生まれた可能性が最も高いことがわかった。これは今の人類の祖先が本格的に世界に広がった時期と重なる。
研究メンバーの山岡吉生・米ベイラー医科大学准教授は「人の遺伝子よりも、ピロリ菌の遺伝子の方が変異しやすい。例えば5000年程度の単位で民族の起源を分析する場合、人の遺伝子は変化がなく使えないが、ピロリ菌なら十分な手がかりになる」と話している。
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壮大な話ですな。でもピロリ菌に感染していることのメリットって何かあるんですかね。例えば寄生虫ですと、アレルギー抑制やら何やらと色々あるみたいですが。6万年も共生しているのに潰瘍のリスクにしかならないのでしたら、一方的に人間がやられてるだけですよねぇ。
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