認知症により脳組織が萎縮する前に脳内の免疫にかかわる細胞が活性化することを、放射線医学総合研究所(千葉市)などがマウスの実験で突き止めた。この細胞の活性化を観察できればアルツハイマー病の発症を予測できる可能性があり、早期診断や治療薬の開発につながるという。1日付の米科学専門誌「ニューロン」に掲載された。
研究チームは、認知症の原因の一つと考えられている「タウたんぱく」が脳内に蓄積するように遺伝子操作したモデルマウスを作成。このマウスは加齢に従い神経細胞が死滅し、生後9カ月で脳組織が萎縮する。チームはこのマウスで、脳の損傷を加速させると考えられている「ミクログリア」という免疫細胞を観察した。その結果、海馬などの脳組織が萎縮する前の生後3カ月で、すでにミクログリアが活性化し始めることが分かった。一方、生後2、3カ月で、免疫抑制剤を投与すると海馬の萎縮を抑えた。
放医研の樋口真人チームリーダーは「変化したタウたんぱく質が細胞にたまると、除去しようとして集まったミクログリアが活性化し、脳細胞を損傷させるのではないか。副作用の強い免疫抑制剤ではなく、ミクログリアの活性を抑える治療薬を見つける必要がある」と話している。
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ミクログリアとは、脳の免疫系統に関わっているものです。この増減を見極めれば認知症発生を知ることができ、また、予防もできるのではないかということですね。
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