耳の遠いお年寄りや聴覚障害者に、振動で火災を知らせる警報器が普及し始めた。ここ数年で福祉機器メーカーなどによる開発・販売が相次いでいるうえ、消防法改正で昨年6月から新築住宅への火災警報器設置が義務づけられたことから、拍車がかかっている。総務省消防庁も、出回っている振動式や発光式の警報器を実際に使った実験を行い、あいまいだった基準作りに動き出した。
東京都文京区の聴覚障害者、阿部いとしさん(80)は昨秋、振動式の警報装置を枕の下に入れた。「2年前から一人暮らしで、不安を感じるようになった。これは驚くほど激しくふるえるから夜でも安心」と話す。
開発したのは新宿区の福祉機器メーカー、東京信友。値段は専用受信機を含め4万円ほど。昨年9月の発売以来、自治体や住宅メーカーから問い合わせが相次いでいる。
開発のきっかけは04年の消防法改正だった。すべての新築住宅に06年6月から火災警報器をつけるよう義務づけたが、当時、市販されていた住宅用警報器は音か光で警告するものがほとんど。障害者から「寝ていたら光にも気づかない」と不安の声が上がっていた。
他に少なくとも4、5社が振動型の警報器の開発・生産に乗り出していて、中には、警報器が鳴ると振動するベッドもある。聴覚障害者の学生の寄宿舎で使われているという。
一方、消防法改正を受け、同庁も基準づくりに向けた調査を始めた。
通常の火災警報器の場合、省令で音の大きさが「1メートル離れた地点での測定値が70デシベル以上」と定められている。しかし、音以外の方法を用いた警報器は「有効に火災の発生を報知できるものであること」と抽象的な基準しか示していない。このため、振動の強さなどがメーカーによってばらばらなのが現状だ。
同庁と警報器メーカーによる社団法人「日本火災報知機工業会」は昨秋、聴覚障害者や健常者ら約80人を対象に警報器の効果をみる実験を行った。振動型では枕の下に入れるタイプやポケベル型、横たわった時に使う「振動マットレス」などを実際に使ってもらい、振動に気づくまでの時間を測るなどした。
同庁はデータを分析し、来年度初めに指針を示す。担当者は「目安を示せばメーカーも対応しやすくなり、普及も進むのでは」と話している。
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あーこれは凄くいい。最初に考えた人、頭いいですね。安全をお金で買えるなら安いものです。