赤痢菌が人体に感染するとき、腸の細胞をだますたんぱく質を作り出して侵入していることがわかった。笹川千尋・東京大医科学研究所教授らのグループが英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に論文を発表した。新しい治療薬やワクチンの開発につながる成果という。
一般に細胞は「RhoG」と呼ばれるたんぱく質を利用して、外部の菌や物質を取り込む働きを持つ。しかし、腸の表面にある細胞ではこの働きが抑えられ、大腸菌などが体内に入り込むのを防いでいる。このため、赤痢菌などが、どのようにして腸から体内に入るのかは、これまでよくわかっていなかった。
笹川さんらは、赤痢菌がRhoGに性質がよく似た「IpgB1」というたんぱく質を作ることに注目。IpgB1を使って腸の細胞をだまし、自らを取り込むようにし向けていることを確かめた。
IpgB1に似た物質は、病原性大腸菌O-157やサルモネラ菌などでも見つかっており、同じような働きをしていることが予想される。この働きを妨げる物質を開発すれば、新薬として幅広く使える可能性がある。
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賢すぎますね。ヘリコバクター・ピロリなども、胃に住み着くために凄い努力をしていますが、何故あんな原子生物にこんな知恵があるのか。生物とは不思議なものです。もし地球が温暖化とかになって人間が住めなくなったとしても、何らかの生物の形で生きていくことができるかもしれませんね。
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