岡山大医学部・歯学部付属病院の園山亘助手(35)=補綴学=は26日、発育途上のヒトの親知らずから、新しい生体幹細胞「歯乳頭由来幹細胞」(SCAP)を取り出すことに成功したと発表した。
ミニブタを使った応用実験で、世界で初めて大動物の歯の咀嚼機能回復にも成功するなど、ヒトの歯の再生治療への応用が期待される。
園山助手によると、発育完了した歯の歯髄から「歯髄幹細胞」(DPSC)を取り出すことは既に行われていたが、園山助手は、歯茎内に埋まった状態の親知らずの歯根の先から、幹細胞を採取することに成功した。18〜19歳の男女16人から提供を受けた親知らずからSCAPを取り出し、DPSCと比較。3人分のサンプルの平均でDPSCの細胞分裂の可能回数が60回程度だったのに対し、SCAPは70回以上と増殖力があり、歯の象牙質作成能力もSCAPの方が優れていることが確認された。
同時に、SCAPがミニブタからも取り出せることを発見。ミニブタを使った実験で、SCAPと歯根膜幹細胞(PDLSC)を、歯根の形にした歯のエナメル質の成分の一つ「ハイドロキシアパタイト」と組み合わせ、象牙質と歯根膜を持った人工歯根の再生に成功した。さらに、人工歯根にセラミック製の冠をつけ、失った歯の咀嚼機能や審美性の回復にも成功。
同研究の成功で、例えば何らかの原因で歯を失った際、あらかじめ抜歯しておいた自分の親知らずのSCAPを利用した歯の再生治療などが可能になるという。園山助手は南カリフォルニア大(米国)に留学中、同大のシー・ソンタオ博士の指導で、ほかの研究員らと同研究を行っていた。「今後は感覚面の回復なども検討し、もっとヒトに近い動物でも実験を重ねたい。最終的には、人工物を使わない歯の再生治療を可能にしたい」としている。
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人類の夢が、園山亘先生の肩に乗っかっているようなものです。今まで不要と思われていた親知らずを利用した、歯の再生医学。歯根まで再生できるということなんで、かなり期待できそうです。やはりどんなことがあっても差し歯ではなく自分の歯を保っていたいです。事故で失った人にも、その人本来の歯を。
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