放射線医学総合研究所(放医研)は12月6日、PETとMRIを用いた研究により、認知症を伴うレヴィ小体病の脳萎縮にアルツハイマー病(AD)と同じく異常タンパク質「アミロイド」の蓄積が密接に関連することを明らかにしたと発表した。
同成果は、放医研 分子イメージング研究センターの島田斉 研究員らと千葉大学大学院医学研究院の桑原聡 教授らによるもので、「Movement Disorders」オンライン版に掲載された。
認知症は高齢者に多く、65歳以上ではおおよそ13人に1人が発症するとされており、特に高齢になる程発病率が高くなるため、日本でも高齢化に伴い、患者数は増加している。認知症を伴うレヴィ小体病は、三大認知症の1つで、高齢者にも多く、典型的には、近時記憶障害(物忘れ)、幻視(実際には無い物や人が見える症状)の他、振戦(手足の震え)、筋強剛(関節の抵抗が大きくなる症状)、寡動・無動(動作が緩慢になったり、動けなくなったりする症状)、姿勢反射障害(バランスが悪くなる症状)などの様々な症状が認められるが、原因については不明な点が多く、いまだに解明されていない。
アルツハイマー病ではアミロイドと呼ばれるタンパク質の塊が蓄積し、これにより神経細胞が死ぬことで脳が萎縮し、物忘れなどの症状が出ると考えられており、認知症を伴うレヴィ小体病においても、アミロイドの蓄積が生じる例があることや、脳が萎縮する例があることなどがこれまでの研究から知られていた。
また、病初期に認知症を伴わないレヴィ小体病患者でも、脳が萎縮している症例では、将来認知症が出てくる可能性が高いということも報告されていたが、認知症を伴うレヴィ小体病における脳内のアミロイドの蓄積と脳の萎縮との関連は、明らかになっていなかった。
そこで今回の研究では、アミロイドの蓄積を確認する目的で行われるPET検査で用いられる、検査用の薬剤の一種「[11C]PIB」を用いて検査を行い、認知症を伴うレヴィ小体病患者、アルツハイマー病患者および健常者(対照)の脳内アミロイド蓄積を測定し、各群を比較したほか、認知症を伴うレヴィ小体病において、アミロイド蓄積を伴う群と伴わない群にわけ、これら二群とアルツハイマー病患者群、健常対照群において、MRI画像から推定した脳萎縮の程度を比較し、認知症を伴うレヴィ小体病におけるアミロイド蓄積と脳萎縮の関係の調査が行われた。
認知症を伴うレヴィ小体病患者15名、アルツハイマー病患者13名、および健常対照者17名を対象にPET画像診断を行い、脳内アミロイド蓄積の分布を測定したところ、認知症を伴うレヴィ小体病患者の40%(15例中6例)と、すべてのアルツハイマー病患者で、脳内にアミロイド蓄積が認められた。認知症を伴うレヴィ小体病を、脳内にアミロイドが蓄積している群とアミロイドが蓄積していない群に分けた場合、アミロイドが蓄積している群における脳内アミロイドの分布は、アルツハイマー病における分布と類似していることが確認されたという。
レビー小体型認知症というのも近年非常にピックアップされてきた疾患の1つです。
なんといっても、ありありとした幻視が特徴的で、それに加えて認知機能の低下が起こることでオヤッと思います。アルツハイマー病と異なって、アリセプトなどを大量にいってしまうと逆に症状が重くなるので少量処方からがポイントとなりうることでも有名です。