「支援していただいたみなさんに感謝します。今は次の職場で努力していくことだけを考えています」。富山県射水市の市民病院で4月まで外科部長を務めていた伊藤雅之・市福祉保健部参事(51)に28日、退職辞令(31日付)が交付された。末期患者の人工呼吸器取り外し問題が3月に発覚してから9カ月。今年最も注視された医師の1人は、06年の暮れとともに一つの区切りを迎えた。
伊藤参事は辞令交付前、分家静夫市長から求められ、握手を交わした。辞令を受け取った後、取材に応じ「今年(射水市民病院への復帰を求めた)署名などで応援していただいた皆さんに心から感謝している。よいお年をお迎えください。射水市にはお世話になった」と謝意を表した。
また来年からの抱負を「『人事を尽くす』のが医療だから、それを自分にとってのテーマにしていきたい」と話した。継続中の県警捜査については「一番コメントしづらいが、自分の運命から逃げる訳にはいかない。いろいろな結果、経過を受け入れながら(発言、行動を)一つ一つ選択しないといけないだろう」と述べた。
伊藤参事は来年1月から、石川県白山市の公立病院の嘱託医師として、また富山県高岡市の民間病院に非常勤の外科医として勤務する予定で、今月4日に辞職願を提出していた。
高岡の病院によると、伊藤参事の勤務は、病院側が8月ごろから打診し、今月正式に決まった。「伊藤先生は再起をかけておられ、『支援してくれた射水市の自分の患者を診ることができる』との思いもあるようだ。病院側も内科などのほか、外科に力を入れていきたいと考えており、伊藤先生の経験に期待している」と話している。
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今までが「市福祉保健部参事」とかいう、いわゆる肩書きだけで表には出ない職でしたが、やはり医者として全うしたいと辞職されたようです。この先生は正直、かなり良い医者なんじゃないかなと思いますけどね。残念なことに「司法が現状に追いつかなかった」ために、マスコミの渦に巻き込まれてしまいました。あと20年、いや、10年遅ければ、伊藤先生の望む医療を患者に提供して、患者自身も一番自分の望む形で逝けたのではないでしょうか。
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