マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の研究チームが、内耳における蝸牛の生体電位を電源として利用するインプラント型医療用デバイスを開発したとのこと。モルモットの内耳にデバイスを埋め込み、無線による計測データの読み出し実験に成功した。聴力や平衡感覚の計測などに応用できるとする。2012年11月8日付の Nature Biotechnology に論文が掲載されている。
耳の内部では、鼓膜の振動が電気信号に変換され、脳に送られる。蝸牛は、この電気信号を流すための電圧を作る働きを持っている。蝸牛内には膜で仕切られた空間が存在し、細胞の一部がイオンポンプとして機能している。イオンポンプによって膜の両側におけるカリウムイオンとナトリウムイオンの濃度が不均衡となり、膜の内外に電位差(膜電位)が生じる。
蝸牛内の電圧は生体の中では最も高いものだが、それでもなお非常に低い。その上、聴力を損なわないようにする必要から、デバイスの電源として利用できる電力はごく一部に限られる。今回MITのマイクロシステム技術研究所(MTL)が開発したチップは、こうした条件で動作可能な超低電力電波送信器であるという。
実験では、このチップに接続した電極をモルモットの蝸牛内の膜に埋め込んだ。蝸牛内電位から最小で1.12nWの電力を5時間にわたって回収し、蝸牛内電位の測定値を2.4GHz無線によって40〜360秒間隔で転送することができた。チップ自体はモルモットの体外に置いたが、チップサイズは内耳の空間内にも十分設置できる小ささであるという。
未来技術過ぎる…。マトリックス的な感じになってきました。これを使った技術も出来るようになるのかもしれませんね。軍隊の無線が確かに一番有用そうかな。