関西医科大(大阪府守口市)のグループが、「灌流法」と呼ばれる新しい骨髄採取法の国内初の臨床試験に成功した。採取される人の負担が軽く、痛みも軽減される。骨髄採取時の負担の重さは骨髄移植普及を阻む壁の一つになっており、画期的な方法として注目される。関連病院などで臨床試験を重ね、国内外に普及を進めるという。
従来の骨髄採取は、直径約1.5ミリの針を患者の腰骨の約100カ所に刺し、計0.5〜1リットルの骨髄液を吸い出す。健康な骨髄提供者(ドナー)でも、痛み止めの投与を受けながら3、4日の入院が必要だった。
灌流法は、同大学の池原進教授(病理学)らが開発した。2本の針を同時に刺し、片方から生理食塩水を注入、他方からあふれ出る骨髄液を採取する。効率よく採取でき、吸引しないのが特長。免疫機能を担う末しょう血内のリンパ球の混入が少なく、他人に移植して白血球の型が合わなくても、リンパ球が患者の体を攻撃しない利点もある。
今回は安全性確認のための試験で、リンパ腫の男性患者(58)が採取を受けた。自分の骨髄液を採取し抗がん剤投与後、体内に戻す治療の一環で20日午前、第一内科(福原資郎教授)が実施。腰骨に開けた穴は8カ所、骨髄液採取量も約0.4リットルで済み、時間も従来の半分以下の1時間弱だった。男性は21日朝には自分で歩き、22日に一時帰宅した。主治医の森眞一郎講師は「従来の症例と比べ、痛みの訴えは格段に少なかった」と話す。
灌流法を使った手術は04年12月、依頼を受けて池原教授らが中国の病院で初めて実施。成功している。
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骨髄採取の問題はやはり痛みでしょうね。見た感じ太い注射針が何本も刺さるのは、健常者なら腰が引けてしまうでしょう。おそらく骨髄移植のドナー登録数が増えても、途中で辞退してしまうのはそうした観点も含まれるのではないでしょうか。
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