国立社会保障・人口問題研究所は20日、2055年までの日本の将来推計人口を発表した。女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)の50年後の見通しは、02年の前回推計の1.39から1.26に大幅に低下。人口減少が加速し総人口は46年に1億人を割り込む。55年には8993万人に減り、65歳以上が人口に占める高齢化率は今の倍の40.5%になるとしている。「現役世代の収入の5割」の年金給付維持が政府の約束だが、このまま少子高齢化が進めば、長期的な運用が改善しない限り、給付水準見通しが5割を維持できなくなるのは確実だ。
今回の人口推計は、5年に1度の05年国勢調査をもとに、今の出生や死亡の傾向が続くと仮定。出生率を高めに見積もる高位、基準となる中位、低めの低位推計の三つで試算した。
前回の中位推計では、出生率は07年ごろに1.31で下げ止まり、将来1.39まで回復するとしていた。だが05年の出生率が1.26まで下がり、女性の非婚化傾向も予想以上に進んでいることから、長期の出生率の見通しを下方修正した。最近の出生数の増加を反映して06年は1.29に上がるが、増加は一時的な現象で長期的な傾向に影響は与えないとみており、07年には1.25に低下。13年に1.21で最低となり、その後、微増して1.26になるとしている。
高齢者の死亡率は低下し55年時点の平均寿命は男性が83.67歳(05年は78.53歳)、女性は90.34歳(同85.49歳)に伸び、高齢化も進む。
この結果、35年には3人に1人が高齢者という超高齢化社会に突入。55年には15歳未満の若年人口が752万人に減り、人口に占める割合は05年の13.8%から8.4%に低下。15歳から64歳の現役世代は同じく66.1%が51.1%に下がる。高齢者1人に対する現役世代の数は今の3.3人から1.3人に減る。
05年に1億2777万人だった日本の総人口は46年に9938万人に。1億人割れは前回推計より5年早まった。さらに参考値として出した今後100年間の長期推計によると、2105年には4459万人で現在の約3分の1に縮小する。
推計は現時点での見通しに過ぎず、この通り推移するとは限らない。ただ、このまま少子化に歯止めがかからなければ、世代間の支え合いで成り立つ年金などの社会保障制度は揺らぎ、大幅な負担増と給付削減、労働力人口の減少による経済の停滞など深刻な事態が避けられない情勢だ。
政府・与党は04年の年金改革で、平均的収入の会社員世帯で現役世代の収入の5割以上の年金給付を約束。前回推計を前提にすれば、現行の59.3%より下がるが、もっとも厳しくなる2023年度以降も50.2%を維持できるはずだった。
厚生労働省は今回の推計をもとに給付水準などの暫定的な試算を来年1月末に公表するが、出生率低下で将来水準は5割を下回る可能性が高い。安倍首相は20日、首相官邸で記者団に「(出生率は)厳しい数字だが、すなわち年金の崩壊ではない」と述べ、「出生率が下がらないようにありとあらゆる手段で少子化対策を行いたい」とも強調したが、来夏の参院選に向けて年金が大きな争点になるのは確実だ。
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そもそも高齢者を65歳と定義づけたままの予測なのがネガティブキャンペーンに思えてならないです。医学と公衆衛生の進歩によって寿命が延びるのは当然のことで、つまり高齢化が進むのは当たり前なんですわ。短命な生き物は子供も沢山産みますが、平均で80年も生きる生き物が子孫を少ししか残さなくなるのはある意味当然のことではないでしょうかね。
まあどうしたらいいかっていうと、高齢者の定義を上げて、もっと働けばいいんじゃないでしょうかね。福祉サービスを提供するかわりに、働ける人は働けるまで働く。社会が年齢で区切るのではなく。
「いずれ若者2人で老人を1人支えることになります」なんていう詭弁はもう通用しません。生産人口を増やすには、老人も働くことが前提です。暗い未来をハナから子供に押し付けるのは良い国とは言えませんね。
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