深刻な薬害を引き起こし、約40年前に販売が停止された「サリドマイド」について、九州大医学研究院等倫理委員会は14日、全身に潰瘍ができる難病「ベーチェット病」を発症した九州在住の男性患者への使用を承認した。
倫理委によると、患者は10歳代前半で、腸に潰瘍ができ腹痛や下血などの症状が出る腸管型のベーチェット病。一般の免疫抑制剤では効果が得られず、昨年4月から信州大病院でサリドマイドの服用を始め、症状が改善した。このため、居住地に近い九州大病院で引き続き同じ治療を行い、安全性と有効性を検討する。
サリドマイドはかつて催眠鎮静剤として販売され、胎児の手足に重い障害が出るケースが相次いだ。近年、がん治療薬として一部で使用されているが、薬害被害者からは慎重な使用を求める声が上がっている。倫理委は「薬害につながる危険は否定できず、別の患者に使用する場合は倫理委で改めて審議する」としている。
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薬害被害者と、被害があったというイメージでサリドマイドは避けられがちですが、正しく使えば非常に良い薬です。これからもおそらく、徹底した管理体制のもと、用いられることと思います。ベーチェット病や多発性骨髄腫の人からすれば、サリドマイドはまさしく「神の薬」なのです。
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