体の免疫機能が低下している人がかかりやすいカリニ肺炎の感染を防ぐ働きを持つたんぱく質を、岩倉洋一郎・東京大医科学研究所教授らのグループが特定した。エイズ患者や臓器移植を受けた人などでの治療に役立つ可能性があるという。米科学誌ネイチャー・イムノロジー(電子版)に発表した。
カリニ肺炎は、カビや酵母などと同じ真菌類のニューモシスチスが引き起こす病気。この真菌はほとんどの人の肺などに存在するが、健康な人では免疫の働きにより病気を起こさない。
岩倉教授らは、白血球の表面に存在するデクチン1と呼ばれるたんぱく質が、免疫系にも影響を与えていることを発見。デクチン1の遺伝子を人工的に働かなくしたマウスで、カリニ肺炎の感染についても調べた。
その結果、デクチン1を作れないマウスは、通常のマウスに比べて肺の病状が悪化することがわかった。また、人工的に免疫不全状態にした場合も、デクチン1を作れないマウスの方が、症状がひどかったという。
岩倉教授は「デクチン1は通常の免疫作用に加えて、活性酸素の働きでカリニ肺炎の感染を防いでいるとみられる。この性質を利用すれば、より効果的な新薬の開発につながる可能性もある」と話している。
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カリニ肺炎は、ステロイドの長期間の内服や、AIDSなどのように免疫能力の低下する状態で起こります。免疫能力が落ちれば、通常では大丈夫だったニューモシスチス・カリニが悪さをするようになるわけです。
別ソースによりますと、このデクチン1は、真菌感染に関与しているようです。もしかするとカリニ以外の真菌類も防げるのではないでしょうか。
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