川崎重工業は、最先端の医療向けに、細胞自動培養ロボットシステムを開発した。病気やけがなどで機能を失った臓器や組織を、自らの細胞や組織を使って再生させる再生医療分野に活用する。
同システムは、クリーンルーム内で半導体などの組み立て作業を行う川崎重工の「クリーンロボット」を応用した。
複数の人から採取した細胞をそれぞれ別々に培養して再生医療に必要な量の細胞を作り出す細胞調整室の中でロボットが作業する仕組み。ロボットはそれぞれの細胞を培養操作部や個室管理室に運んだり、培養した細胞を株分けして細胞を増やすなどの各種作業を行う。細胞は約3週間で治療に必要な量にまで育つという。
細胞の培養はこれまで熟練した技術者が行っていたが、人間が細胞に対する汚染源になるほか、それぞれの細胞が作業中に混じる危険性もあるため、1室当たり1人分の細胞培養に限られていた。
今回、人間の代わりにロボットを活用することで、決められた動作を正確に繰り返すことが可能となる。また、一つの作業が終わるたびにロボットを殺菌処理することができるため、高い安全性を確保した。このため、多人数の細胞の同時培養と、全工程の完全自動化を世界で初めて実現した。今回開発したシステムの細胞培養は2人分だが、実用段階では10人分の同時培養が可能になるという。
同システムは信州大学医学部附属病院内の先端医療推進センター(長野県松本市)に設置され、信州大学は軟骨再治療への適用を目指した研究に使用する。川崎重工は同大学の評価を得て、厚生労働省に認可を申請。実用化を目指す。
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おー。これは最先端。移植目的での細胞培養ロボが誕生するとは、まさにSFの現実化ですね。手塚治虫の夢見た世界がいまここに。
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