HIV(エイズウイルス)感染者が出産する際に2〜3割の比率で起きる恐れがある母子感染も、帝王切開と抗ウイルス剤の投与を組み合わせるなどの予防策をとれば、感染率が0・6%まで抑えられることが、厚生労働省研究班(主任研究者=稲葉憲之・独協医科大病院長)の全国調査でわかった。
子供を持つことをあきらめるHIV感染者が多いとされてきただけに、その考え方そのものを変える可能性がある結果として注目される。
母子感染の原因の一つは、出産時に母体からの出血が新生児の体内に取り込まれることだとされる。このため、出血対策としての帝王切開や、妊婦のウイルス量を減らす抗ウイルス剤投与が行われている。
研究班が全国の産婦人科などを対象に1998年から実施している調査によると、昨年度までに報告された感染妊婦の総数は468例。うち実際に出産にこぎつけ、しかも生まれた子の感染の有無を把握できた209例について分析した。
それによると、HIV感染を踏まえた計画的な帝王切開による出産は173例で、うち母子感染事例は、わずかに1例(0・6%)。これに対し、感染妊婦の自然出産は22例で、うち母子感染は5例(23%)だった。残り14例は緊急の帝王切開による出産で、母子感染は1例(7%)だった。
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母体と子供って出産の段階まで血液をやりとりしているわけではないんでしたっけね。(もし違うのならHIV感染率は100%になりますし)。確か胎盤のところにある絨毛で、酸素や栄養やらを、母体側の血液から胎児側の血液へ供給している形をとっていて、直接2つが触れ合うことはないと思いました。
このデータは大変貴重です。HIV陽性者から感染していない子供が生まれれば、あとは性行為の際に気をつければHIV根絶も難しくはないはず、です。
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