2012年08月12日

大うつ病性障害の治療ガイドラインを発表。「内科医の皆さん読んどいてね」

日本うつ病学会初の指針「大うつ病性障害の治療ガイドライン」を発表

 7月27日までに、日本うつ病学会が「大うつ病性障害の治療ガイドライン」をまとめたことが明らかになった。これは、日本うつ病学会が作成した初の指針で、医師を対象に多様化するうつ病への適切な治療法をまとめたもの。

 厚生労働省の推計では、1999年には約24万人であったのが、2008年には70万人を突破するなど、国内のうつ病患者数は激増している。こうした状況を踏まえて、今回のガイドライン作成に至ったそうだ。

 このガイドラインでは、抗うつ薬の有効性と副作用を掲載し、軽症者への安易な投薬に自制をうながしているのが特徴。また、うつ病はガイドラインどおりに治療すれば必ず結果が出るというものでもなく、患者に応じて工夫が必要だとも説明。

 軽症のようにみえても、中等症であることや治療中に重傷化することも多く、かかりつけ医としてうつ病患者を担当している人には、精神科専門医との連携治療を勧めている。

 うつ病患者数の急増により、精神科専攻以外の医師が、心療内科や神経科として診療を行うことも多く、過剰投薬や誤った病名診断を増加させている一因だそう。

 北里大学医学部精神科の宮岡等博士は、

「このガイドラインを読んで新しい知識を得たと感じる精神科医がいたとしたら勉強不足過ぎます。」

とコメントをしており、上記のような精神科専攻以外の医師が対象となったガイドラインとも言えるかもしれない。

 いずれにせよ、精神科専門医にはもちろんのこと、精神科専攻以外の医師がうつ病患者を対応する場合はなおさら、ガイドラインにしっかりと目を通したうえで、適切な治療を行ってもらいたい。

 なお、仕事ではうつ状態になるが余暇は楽しく過ごせるという「新型うつ病」については、

「精神医学的に深く考察されたものではない」

 としている。



 これははっきりと、開業の内科医向けに書いたものでしょうね。本格的にうつ病を治療している精神科医が使うガイドラインとしては浅すぎる内容です。(抗うつ剤の使い方などのガイドラインに関しては、今現在京都大学が臨床研究としてやり始めている段階ですので)

 そもそも日本で何十万人とうつ病がいるとか言われていますけれど、本当に「うつ病」と言えるのはおそらくこの10分の1ぐらいじゃないでしょうか。新型うつ病やらといった病態は、まぁうつ病とはほど遠いというか、過労や心因反応や不安神経症といった類であることを、もっと明確に伝えなきゃいけません。

 まあでもですね、何年か前に、「新型うつ病だー」とか騒いだのは他ならぬマスコミなので。「軽症に過剰な投薬はよせ」って、お前らが言うなよwって感じですけれども。

 で、このガイドライン。確かに精神科医なら当たり前のように知っているようなことばかりなので、やはり内科医向けなのでしょう。上にも書いたようにマスコミがうつ病だうつ病だと言って、うつ病を見逃してはならない風潮になった。ここまでは良かったんですけれど、何故か開業の内科医が、知識もないのに勝手に治療しはじめちゃった。

 このあたりがヤバい。

 精神科医がみれば到底出さないような強力な抗うつ剤を、軽症うつ病といわれる「抑うつ状態」にホイホイと出しまくってしまった。まぁ内科医だけじゃないですけどね。東京都で有名な某○○メンタルクリニックとかも、ホイホイ出してますが。

 よく精神科医は薬漬けに云々って話ありますけど、まともに修行した精神科医だったら、むしろ極力薬減らしますけどね。もちろん急性期はしっかり薬飲んでもらって、維持期にもある程度は飲んでもらいますけれど。必要だから出しているわけで、不必要だったら出さないです。不必要なのに出しているのは、診断すら出来ずに患者が「うつなんですわ」って言っただけで「あなたはうつ病です」って言って薬出すような内科・外科出身の開業医。本物のうつ病とかほとんどみたことないんじゃないでしょうか。もし精神科医でそんなことやってたら総スカン食らうところです。

 今は初期臨床研修医制度があり、精神科研修は必修です。これはすごく良いことで、若い医師たちに「本物のうつ病とはどういうものか」「精神科医に紹介しなければいけないレベルの疾患とはどういうものか」「抗うつ剤、抗精神病薬がいかに使うのが難しいか」を理解してもらえるからです。彼らが内科や外科に行ったとき、「これは精神科に紹介しないと」と思ってくれれば御の字なのでしょう。

 あと大事なのは、本物のうつ病の場合、身体の症状を訴えて内科を受診する場合が非常に多いのです。比較的重症の場合だったりするので、そういう時には内科医がみて「こりゃぁヤバい」と思う感覚が、大事なのです。そのあたりの連携が今後重要ですかね。
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posted by さじ at 03:50 | Comment(0) | 精神
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