厚生労働省は、予備軍も含めた人数が約1600万人と推定され、「21世紀の国民病」と呼ばれている糖尿病について、患者が自己判断で治療を中断するのをかかりつけ医や医療相談員(カウンセラー)の協力で防ぎ、症状の悪化や合併症を予防する事業に乗り出すことを決めた。
国内だけで400万人近いとされる治療中断者の半減を目指す。
厚労省の計画によると、民間委託の医療カウンセラーを患者と医師の橋渡し役として活用。根気の要る食事療法などの支援を行う。また、患者を継続的に見守り、症状に応じてほかの専門医を紹介する米国のホームドクター(家庭医)制度を参考に、かかりつけ医と糖尿病や眼科、腎臓病の専門医の連携を強化する。
カウンセラーは、受け持つ患者に対して、電話やメールなどでかかりつけ医の指示に基づく食事や運動などの指導を行い、適宜、受診を促して中断を防ぐ。治療に向けての目標を設定し、その達成度をかかりつけ医に伝える役目も果たす。
9月から東京都と千葉県内で約1200人の患者を対象とした試験的な事業がスタート。2008年度中に全国約30地区に拡大する。02年の調査では、糖尿病患者は約740万人で、将来、糖尿病になる可能性が高い予備軍も880万人と推測された。
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「そこまでしなきゃならんのか」という意見もあるでしょう。ですが、厚生労働省としては悪化して医療費が増大するほうが困るのです。糖尿病の予備軍になっているということは、それはつまり生活習慣が悪いということを意味します。ズボラな生活を送っている人に「食事の献立」だとか言っても、無理でしょう?
これは患者の意志の問題です。ですが、それをできるだけ医療従事者がサポートしてやるというのもまた1つの考え方なのです。食事療法をやらない患者に「やらなきゃダメでしょ!」と叱責しても、かえってやらなくなるだけらしいです。そこらへんは精神医学というか、心理学というか、要するにコミュニケーションの問題なのですが、うまいこと食事療法を自らやるよう仕向けるのもまた、医師に求められるスキルの1つなのです。
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