2012年07月19日

夏休みに注意すべき感染症とその予防策について知ろう

夏休みに海外で注意すべき感染症と予防策…厚労省まとめ

 厚生労働省は7月9日、2012年夏休み期間中における海外での感染症予防について公表した。海外で感染症にかからないようにするためには、感染症に対する正しい知識と予防方法を身につけることが重要だという。

 夏休み期間中は、海外旅行者が多い時期。海外滞在中に感染症にかかることなく、安全で快適に旅行し、帰国することができるよう、海外で注意すべき感染症およびその予防対策について次のようにまとめている。

 「蚊やダニなどが媒介する感染症」について、蚊を媒介した感染症が世界的に多く報告されており、特に熱帯・亜熱帯地域では「マラリア」「デング熱」「チクングニア熱」などに気をつけよう。蚊に刺されたり、ダニに咬まれることなどによる感染症を防止するためにも、野外活動の際には、長袖、長ズボンを着用する、素足でのサンダル履き等は避ける、虫よけローションを使用するなど留意する必要がある。

 「動物からうつる感染症」について、人に重篤な症状を起こす感染症として「鳥インフルエンザ」「狂犬病」「エボラ出血熱」「マールブルグ病」がある。野生動物はどのような病原体を持っているかわからないことが多く、重篤な感染症の病原体を持っている可能性もあるので、海外では、むやみに動物に触れることはやめよう

 「諸外国での感染に注意すべき感染症」について、麻しんとポリオは流行地での感染に注意する必要がある。感染予防としては、予防接種が有効だ。

 そのほか、手洗いの徹底や、生水や生もの、氷の摂取に気をつけるように注意を呼びかけている。また、出発前に渡航先の感染症の流行状況等に関する情報を入手しておくことが大切だという。



 昔と違って、海外旅行がすごく身近なものになってきましたが、日本では考えられないような感染症もありますので、注意は必要です。もし帰国して調子が悪かったら、まずどの国に行ったか、医師に報告しましょう。

 というわけで、咬傷に関してちょっとまとめましたのでどうぞ。特に日本で夏を過ごしていて遭遇しそうなものを中心に。

[何かに咬まれた時の抗生剤]
☆人でも犬でも猫でも豚でも・・・オーグメンチンが第一選択!
(オーグメンチン:抗生物質のアモキシシリン(AMPC)と、βラクタマーゼ阻害剤のクラブラン酸カリウム(CVA)が配合されている複合抗生物質。日本のオーグメンチンはAMPC:CVA2:1)

--------

1:蛇に咬まれちゃったとき

★縛り過ぎるのはだめ!
 動脈を圧迫してしまって、血の流れがなくなってしまう。

・蛇の毒はリンパ管を通るので、軽く縛って静脈を圧迫する程度でいい。

・そもそも駆血しても意味が無い(NEJM2002)

★海蛇は、縛ったほうがいい。呼吸停止までの時間が延長するので。とりあえず縛ろう。

★傷口を乱切・切開は禁忌!

氷で冷やすと・・・痛みは和らぐ。治りが早くなるわけではない。

Q:蛇にかまれたらどうしたらいいの?

・どす黒く腫れているかチェック
・腫れのマーキング。周囲計測をする。15〜20分ごとに。
・15〜25%はdry bite(毒が入らない)なので問題なし。
・毒は毒牙の側溝を通って尖端数mm手前から出る
・多くは1時間以内に腫れる。48時間かかる場合もある

Q:まむしに咬まれちゃった。

→病院に行くまで時間がかかる場合なら、咬まれた直後なら吸い出すのもよい。
(それでも15%程度しか吸い出せない)

★まむし咬症での死亡率は1/1500例

☆毒ありの蛇・・・頭が三角、縦長瞳孔 牙が二本
☆毒なしの蛇・・・頭が丸い、瞳孔丸い

Q:ヘビの毒を飲んでしまった。

→毒は飲んでも大丈夫。胃酸があるからね。
★消化性潰瘍の疾患がなければ毒を飲んでも問題ない

Q:蛇に対する抗血清は?

→腫脹が強ければ抗血清を使う。

抗血清1バイアル
皮内反応7割で陽性。急性副作用25%
→事前にエピネフリン0.25ml皮下注(抗ヒスタミン事前投与は無効)

--------

2:犬に咬まれちゃったとき

・動物咬傷は犬がダントツに多い。
・感染症は少ない(15%)
・症例に併せて抗生剤を(アモキシシリン、セフトリアキソン)

★アルコール多飲、ステロイド使用、リウマチ、糖尿病、肝硬変、無脾症などで感染リスク高い。

☆受傷12時間以内に腫脹 → Pasteurella multocida
・エリスロマイシンはPasteurellaに無効

★ 破傷風予防をすることが大事。破傷風トキソイド投与を行う。

--------

3:猫に咬まれちゃったとき

★猫咬症は膿みやすいから全例に経口抗菌薬が必要。

★歯が折れて残ることがあるので処置に注意

・酷いときは、蜂窩織炎になってしまうこともある。

・咬傷は切開を加えてのデブリードマンを行う。

☆猫ひっかき病 Bartonella henselae
・3〜10日潜伏期→水泡、膿疱、リンパ節腫脹、発熱、筋肉痛が生じる。数ヶ月で自然治癒する

--------

4:人に噛まれちゃったとき

・けんかして相手の前歯にあたるなどすることが多い。
・だから、みんな来院が遅い!

★1/3の例が、深くまで達している。

★深くまで達すると、骨髄炎16%、化膿性関節炎、腱鞘炎になりやすい。

★★ 人咬症の指の切断率は7%!!

・1週間ぐらいして膿んでくる。
・50%以上が混合感染(溶連菌、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌)

--------

5:蜂に刺されちゃったとき

・ミツバチならまぁ大丈夫と思われる
★やばいのはスズメバチ、アシナガバチ

★針が残ってないか確認する

★アナフィラキシーショックになってなければ、患部にリンデロンVG軟膏。
 内服で、セレスタミン3T3x、あと疼痛にカロナール

★アナフィラキシーならアドレナリン0.3mg筋肉注射
 加えて、ソルメドロール200mg+生食100mlを点滴で!
広告
posted by さじ at 02:03 | Comment(0) | 救急
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: