身長が低いことは身体障害か。成長促進ホルモン治療が医療保険の対象になるかどうかをめぐってこんな論議が米国で活発化している。
スペンサー・デービーズさん(10)は身長122・5センチ。成績は全科目Aで、ウィスコンシン州ではトップ級の少年レスリング選手だ。しかし、5年生としては際立って背が低い。6歳半のときからウィスコンシン医大のデービッド・アレン医師のもとで成長ホルモンを投与する治療を続けている。治療費は年間2万ドル(約230万円)。
ところが保険会社に請求したところ拒否された。「身長が著しく低い」場合を除き、成長ホルモン治療は認められていなかったからだ。
2003年に米食品医薬品局(FDA)はイーライ・リリー社の成長ホルモン剤「ヒューマトロープ」の販売を認可した。対象は成人になったときに男性は158センチ以下、女性は148センチ以下にしかならないと予測される人に限られている。
しかし、ミシガン大の小児内分泌科のジョイス・リー医師は「突発性短身症(ISS)に該当するものは全米に40万人いる。その10分の1が治療を受けたとして費用は40億ドル。1人当たり10万ドル(1180万円)になる。わずか1インチ(2・5センチ)前後、身長を伸ばすだけでこれだけの費用をかけてよいかどうかは論議の余地がある」という。
スペンサーさんの母親ローリーさんは「背が低い男性のハンディは社会に出ると女性よりいっそう大きくなる」とし、治療を続ける考えだ。
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アメリカでは少しでも小さいと成長ホルモンを投与するみたいですが、ホルモン系の投与はものすごく慎重にやらなきゃ怖いですよね。どんな副作用があるかわかったものじゃありません。
さらにアメリカでは国民皆保険制度ではないため、私的保険で保険適用されるかどうかがカギとなるわけですが、私的保険は利益を追求しているので、これが承認されるかどうかは難しいところだと思います。確かに身長が低いと社会的に若干不利益だというのは、偏見なども含め「事実」だと思いますが、命に関わりないことを医療保険として認めるかというと厳しいのではないでしょうか。1/10の患者の分だけで40億ドルですからねぇ。
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