病院で注射をしてもらう代わりに、ばんそうこうのように自分で皮膚に張るだけでインフルエンザなどを予防できる「ワクチンパッチ」の開発が進んでいる。このほど数百人を対象にした臨床試験が始まり、実用化が視野に入ってきた。
開発に取り組んでいるのは、米バイオ企業アイオマイ。同社によれば、ワクチンパッチは従来のワクチンのように冷蔵保存する必要がなく、注射針による感染症の心配もない。対象者の自宅に郵送するといった使い方ができ、発展途上国での活用も期待される。米国立衛生研究所(NIH)は、インフルエンザワクチンの改良・普及や新型インフルエンザ対策に役立つとして、この研究を補助している。
皮膚に貼り付けるタイプの医療用パッチは、禁煙補助用のニコチンや避妊薬などですでに実用化されている。しかし、ワクチンはこうした薬品に比べて分子が大きく、そのままでは体内に浸透しにくいことが課題となっていた。同社の研究では、皮膚の表面にある角質層を紙やすりのような道具で軽く削ってからパッチを貼れば、ワクチンが表皮の免疫細胞に到達することが判明。注射と同等か、それ以上の効果が得られるとの結果が出ているという。
現時点で最も研究が進んでいるのは、いわゆる「旅行者下痢症」の原因となる病原性大腸菌のワクチンパッチだ。テキサス大の協力を得て、メキシコとグアテマラへの旅行者300人にパッチを試験的に使用し、効果を確認している。またインフルエンザについても、安全性や免疫反応の強さを調べるため、先月、270人を対象にした臨床試験を開始した。
ワクチンパッチはさらに、生物化学テロへの対策に応用できる可能性もある。同社は米国防総省の補助を受け、炭疽菌のワクチンパッチの開発も進めているという。
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へぇ。皮膚からの吸収では心もとないかと思っていましたが、角質層を削ってパッチをあてれば充分吸収されるんですねぇ。注射器入らず?事故もおこらないし侵襲性も少ないし、簡便に行えるとメリットだらけですな。
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