大腸癌の原因となるポリープは、女性よりも男性に多くみられることを示したポーランドのグループによる研究が、「New England Journal of Medicine」11月2日号に掲載された。大腸癌検診ガイドラインの修正を提案しているが、米国の専門家は異議を唱えている。
大腸癌(結腸直腸癌)はほかの癌と異なり、前癌状態のポリープを検知することにより、かなり予防できる。米国消化器病学会(ACG)では現在、平均的リスクをもつ人の場合、大腸内視鏡検査を50歳から受けるよう推奨しているが、男女での区別はない。内視鏡検査およびその他の検査法の利用により、米国では過去20年で大腸癌が有意に減少しているという。
今回の研究は、マリア・スクロドフスカ‐キュリー記念癌センター(ワルシャワ)の研究チームが、ポーランドでの大腸内視鏡を用いた大腸癌検診プログラムに参加した40〜66歳の被験者5万人強のデータを調べたもの。40〜49歳の被験者は大腸癌の家族歴がある人で、ほかは平均的リスクの人である。50〜66歳では約6%、40〜49歳では3.4%に、進行した新生物(大腸の病変またはポリープ)がみられ、男性では女性よりも73%多くみられた。この結果に基づいて、研究グループは、大腸癌の検診に関するガイドラインを、年齢やリスクだけでなく性別も考慮したものに修正することを提案している。
しかし、米Northern Westchester病院(ニューヨーク州)のJerald Wishner博士は、大腸癌やポリープは女性にも非常に多いので、男性に集中して検診を行うのは問題だと指摘。米テキサスA&M大学医学部のAndrejs Avots-Avotins博士も、わずかな差はあっても大腸癌は男女均等に発症するもので、男女を区別するべきではないと述べている。
またWishner氏は、大腸癌の罹患率や食生活が異なるポーランドの研究を米国人に当てはめるのは難しく、費用対効果の面でも、癌に関しては、最善の方法と費用の安い方法とを量りにかけるべきではないという意見だ。Avots-Avotins氏は、大腸内視鏡検査の供給には限りがあり、この知見がリスク階層化の一つの手段となることは認めているが、ガイドライン変更の必要性についてはやはり疑問を呈している。
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どちらにも多い、大腸癌ですが、男性のほうがリスクが高いという研究です。ですが今までもそれは指摘されていました。今回の研究は「ポリープの数で、男性のほうがリスクがある」ということでしょう。
以下、国立がんセンターのサイトより引用です。
大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。多種、多量の細菌の住みかでもあります。約2mの長さがあり、結腸と直腸肛門からなります。大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。
年齢別にみた大腸がん(結腸・直腸・肛門がん)の罹患率は、50歳代付近から増加し始め、高齢になるほど高くなります。
大腸がんの罹患率、死亡率はともに男性のほうが女性の約2倍と高く、結腸がんより直腸がんにおいて男女差が大きい傾向があります。
男女とも罹患数は死亡数の約2倍であり、これは大腸がんの生存率が比較的高いことと関連しています。
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