明治時代の初めから東京の精神科医療を支えてきた世田谷区の都立松沢病院が敷地内に7階建ての新しい本館を建設し、28日に診療を開始します。これからは思春期やストレスケアといった分野にもより力を入れるということです。
松沢病院が上野から世田谷区上北沢の現在地に移ったのは1919年のことです。精神病の治療には1人当たり100坪が必要との考えからでした。東京ドーム4個分の敷地には低い建物が点在し、治療の一部として農地も設けられています。太平洋戦争後はA級戦犯として東京裁判にかけられた大川周明が病状を悪くして長期入院したことで知られるなど歴史を刻んできましたが、築50年以上の病棟もあり、敷地内への新築となりました。建築と15年の維持管理費など735億円をかけ、全体の3分の2の病棟を集約する形で7階建ての新館が完成しました。
新しい建物は受付から精神科に配慮した特長を設けました。閉塞感を除くための森に向いた大きな窓や、患者同士の目が合ってトラブルにならないような待合いすの配置になっています。そして、松沢病院の先駆的な取り組みである思春期外来も充実させ、ゆったりとした造りで心理療法士などの診療が受けられるようにしました。
また、病室、保護室も壁の材質を厳選したり、各部屋にトイレを付けたりと一層の配慮がなされました。そして、社会復帰につなげるための策として、作業を通して症状改善を促すフロアを充実させたり閉ざされがちだった病院のスタッフルームをオープンカウンターにしたりするなど工夫を凝らしたといいます。松沢病院の分島徹副院長は「今までは精神病の患者を中心に治療していたが、それ以外の現代の世相を反映して思春期、うつ、ストレスケアなどの問題にも対応していける病院づくりを目指している」と話します。さらに、病院の特性から周辺住民の理解も必要と考え、ことしから新しい取り組みも始めました。分島さんは「一般の方々に広くわれわれの活動を知ってもらう必要がある。そのためにも公開講座をつくって皆さんに参加してもらうことなどを考えている」と話しています。
地元の理解を得ながら、時代とともに症例の変化にも対応しようという松沢病院の新館での診療開始は28日です。
都立松沢病院。都内にこの病院があることで、東京都中が救われている、そんな病院です。
東京都の、いや、日本の精神科医療を語るうえで、この病院なくしては語れぬという歴史ある病院でもあります。
昔から色々と先進的なことをしている松沢病院ですが、今の役割として最も大きいのは、東京都内の自分が抑えられなくて暴れまわる超重症精神疾患を都立松沢病院でほぼ一挙に診ているという点もあるでしょう。
精神科の病院としては都内ナンバーワンの優秀病院です。勿論超重症だけでなく思春期疾患や珍しい疾患まで全てみるキャパシティとマンパワーがあるのも特徴ですね。