今年もインフルエンザが流行する季節が近づいてきた。鳥インフルエンザが変異する恐れがあるといわれる「新型インフルエンザ」も気になるが、従来のインフルエンザ対策を厳密に実行していれば、「新型」が発生した場合にも対応できるという。今のうちに基礎知識をおさらいしておくと良さそうだ。
北海道小樽市保健所が先月、「完全なるインフルエンザ対策に向かって〜新型インフルエンザの脅威に備える」と題した冊子を発行、市内の施設などに配布したところ、全国の保健所や企業などから問い合わせが相次いだ。医療や行政の現場でも、「新型インフルエンザ」についての最新情報が求められているようだ。
作成した同保健所所長の外岡立人さんは、「新型」に関する情報が少ないことを心配し、海外の最新情報なども翻訳して専用のホームページで公開している。「鳥インフルエンザが、ヒトの新型インフルエンザに変異する恐れが高まっており、備えが必要」と訴える。
従来型のインフルエンザに対しては、私たちはこれまでに何度も感染したり、ワクチンを接種したりすることで、ある程度の免疫ができている。ところが「新型」に対しては全く免疫がない上、ワクチンもないため、一度発生すると大流行する心配がある。
ワクチン接種以外の方法で、流行を防ぐ必要があるが、実は、「新型」も「従来型」も予防法は同じという。「インフルエンザは冬になったら流行するもの、と甘くみる意識が根強い。基本的な予防策を厳密に実行すれば、従来型にも新型にも対応できるのです」と外岡さんは言う。
冊子は、同保健所ホームページでも読むことができる。マスクの選び方、効果的な手洗いやうがいの方法、医療機関を受診する際の注意点なども紹介されている。
高齢者は肺炎球菌ワクチンも
従来型のインフルエンザを予防するにはワクチン接種が有効だが、高齢者の場合、併せて肺炎球菌ワクチンの接種を専門家は勧めている。
高齢者がインフルエンザにかかると、のどの粘膜が荒れたり、抵抗力が弱まったりして、肺炎の原因となる細菌などに感染しやすくなる。肺炎は、がん、心臓病、脳卒中に次いで、日本人の死因の第4位。年間約10万人の死亡者のほとんどは高齢者で、原因で最も多いのが肺炎球菌だ。
日本医大呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞さんは、「高齢者のほか、ぜんそくなどの呼吸器疾患、糖尿病、心臓病、腎臓病がある人は肺炎になると重症化しやすいので、接種しておくと良い」と話す。
肺炎球菌ワクチンには保険が適用されず、自費で数千円かかる。甲府市、東京都目黒区など全国41自治体には、高齢者の接種費用を公費助成する制度がある。
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一度目を通しておくといいでしょう。たかがインフルエンザとナメていたり、タミフルあるから大丈夫だろうと思うのはいささか認識が甘いと思います。まず予防接種、更に高齢者や呼吸器疾患のある人は肺炎球菌ワクチンも忘れずに。1人1人が気をつければ流行の兆しもなくなるでしょう。医療は予防が一番大切ですから。今年の冬は感染する前に徹底しましょう。
感染しないために
・高齢者や乳幼児は、できるだけ外出を控える
・外出時にはマスクをして、人込みを避ける
・人や物(ドアノブなど)に触れたら、まめに手を洗う
・周囲でせきやクシャミをした人がいたら、できるだけ早く手と顔を洗う。決して手で目をこすらない
・帰宅したら、着替えて手をよく洗う。脱いだ服には、その後8時間は触らないようにする(付着したウイルスは8時間前後生きているため)
自分が感染した場合、人にうつさないために
・症状が緩和するまで、出勤や外出は控える
・どうしても外出する場合は、マスクをする。せきやクシャミをする時は、マスクの上からティッシュで顔を覆う
・使用したティッシュやマスクは、ポリ袋に密封して捨てる
・調理はしない
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