ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)を培養し、全身の筋力が衰える難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状を再現したと、京都大の中辻憲夫物質―細胞統合システム拠点長らのグループが発表した。ALSの疾患モデルを作り出すことで、原因解明や治療薬の開発に役立つという。論文は8日付の米科学誌ステム・セルズ・トランスレーショナル・メディシン電子版に掲載された。
ALS患者の約10%は遺伝性で、残りは原因が不明。遺伝性のうち、約20%は特定の遺伝子SOD1の変異で起きることが知られている。
研究グループは、変異したSOD1をヒトES細胞に導入した上で、運動神経細胞などに分化させた。その結果、細胞死や毒性因子といったALS患者の細胞の特徴を再現できた。これまではマウスなどのES細胞や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って疾患モデルの再現が試みられていたが、成功した例はなかったという。
幹細胞の研究が進んだことで、難病といえるものの原因解明、治療法解明に繋がります。
ALSというのもなかなか壮絶な病態となる原因不明の難病ですが、少しずつですが進んでいるのでしょう。