地方の看護学生さん、都会の病院へいらっしゃい――東京の大病院が、地方から看護師の卵を連れて来ようと勧誘に精を出している。診療報酬の改定を機に増員を図る病院が多いためで、東大病院(東京都)は今秋、初めて地方で試験を行った。看護学生にも上京希望が強く、現代版「集団就職」の様相だ。人材を奪われる地方の病院は、最低限の態勢確保も危うくなると危機感を募らせる。
秋田県の北部、大館市にある秋田看護福祉大には今年、「学生さんをぜひうちの病院に」と東京やその周辺の病院の職員が頻繁に訪れる。昨年度の求人件数は262件だったが、今年は10月上旬の時点ですでに338件にのぼる。
10年前に短大として開校し、昨年4年制に改編したばかり。「うちのような新参者はこちらからお願いしなければいけないのに」と、就職担当の後藤忠志助教授は驚く。
東京の病院から続々と内定通知が届く。都内の大学病院に内定した学生(21)は「ずっと東北に住んでいたので、一度は東京で働きたい」と話す。別の大学病院に決まった学生(21)も「都会の大規模病院で最前線の救急医療を経験したい」。この病院には同級生4人も就職する予定だ。
東京の病院が採用活動に熱を入れる背景には、4月からの診療報酬制度の変更がある。
新たな基準に従って看護師をこれまでより手厚く配置すると、入院患者に対する診療報酬が従来より多く支払われるようになった。「人件費が増えるので利益は出ないが、高度医療と患者サービスにつながる」と東大病院の櫛山博副院長。
東大病院は来春、例年の約2.5倍の300人を採用する予定だ。9月30日には仙台や福岡など5カ所で地方試験を実施。教授らも、学会で訪れた地方の看護大などを回ってPRにいそしむ。
東京の大病院の攻勢を受ける地方の病院は厳しい状況に置かれている。
「都会の大病院に学生が流れてとても太刀打ちできない」。宮城県内で4カ所の病院を運営する宮城厚生協会の佐藤道子看護部長は頭を抱える。来春50人程度を採用したいが見通しが立っていない。12の訪問看護ステーションも運営しているがこちらの応募も減っており、病院部門から看護師を派遣して態勢を維持しているという。
東北医療の中心、東北大病院(仙台市)でさえ苦戦を強いられている。例年の倍近い190人程度の採用が目標だが、めどが立たない。「国立大の法人化で大学病院も競争の時代。他大学の行動を制限できないし」(病院総務課)と渋い表情だ。
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確かに救急医療という面でいえば都心へ出てくるほうが、ハードワークを経験できると思います。ですがその他の面でいうと、都心に出てくるメリットって「自分の生活」が中心ですよね。
看護とは何でしょうか。患者と向き合うことなしにこの職は成立しません。何故看護師になろうと思ったのか。そこらへんがどうなのかを知りたい。モチベーションの高い看護師ほど都心に出てくるというのは誤りだと思います。特に小児科や産婦人科などは、都心より地方のほうが「1人の戦力」とみなされるのではないでしょうか?
日本中どこにでも、看護を必要としている人はいるのです。その現状を念頭において病院選びを行ってもらいたいものです。
権威は都心に多いが、名医はどこにでもいる。
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