土砂崩れで亡くなった母と姉の墓前で手を合わせる皆川優太ちゃん(新潟県魚沼市で) 新潟県中越地震で同県長岡市妙見町の土砂崩れ現場から1人だけ奇跡的に救出された同県魚沼市の皆川優太ちゃん(4)が22日、祖父母らとともに、母親の貴子さん(当時39歳)と姉の真優ちゃん(同3歳)が眠る自宅近くの墓を訪れた。
午前10時過ぎ、祖父母や親類らとともに徒歩で墓地に着いた優太ちゃんは、祖母のミハルさん(68)に「南無南無して」と促されると、墓前で小さな手を合わせ、静かに目を閉じた。
その後、車で約20キロ離れた土砂崩れ現場へ。信濃川を挟んだ対岸に、祖父の敏雄さん(70)と並んでしゃがみ込んだ優太ちゃんは、じっと復旧工事が続く現場を見つめた。傍らで手を合わせていたミハルさんは「貴子も真優も2年前は生きててくれたのに……」と涙をぬぐった。
優太ちゃんらは、新潟市内の高校の文化祭に車で出かけ、その帰りに被災した。車は巨岩に押しつぶされ、貴子さんと真優ちゃんは死亡したが、岩のすき間に立っていた優太ちゃんは4日後、無事救出された。
優太ちゃんは現在、貴子さんの両親の元から近くの保育園に通っている。東京消防庁のレスキュー隊員に救出されたことを覚えており、「大きくなったら、レスキュー隊員か『ウルトラマンダイナ』になって人を助けたい」と話しているという。保育園の同年代の男の子の中では一番大きく、近所にも友だちができた。
貴子さんと真優ちゃんの仏壇に、道端で摘んだ花や茶を供えるのが日課。親類の一人は「心の中にはちゃんと2人が生きている。でも、メソメソしたり悲しんだりする態度を見せない。小さいなりに大人に気を使っているのでしょう」と言葉を詰まらせた。
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案外こういう事件があると、本当にレスキュー隊員になるかもしれません。
というのも、子供のころのトラウマ的体験が、その後の進路に密接に関わることはよくある話でして、例えば小さい頃溺れたことのある子が、大人になってついた職がダイバーだったりといった具合に。トラウマというか、無意識のうちに心のどこかにひっかかっているコンプレックス的な記憶を払拭すること(ストレスから逃れようと防衛する本能)によって、その人を「トラウマを克服する職業」へ駆り立てるのかもしれません。