2006年10月19日

イプラトロピウム使用でディープインパクトがドーピング違反

ディープインパクトから禁止薬物 国内レースは出走可能

 日本中央競馬会(JRA)は19日、凱旋門賞(1日・ロンシャン競馬場)で3着だったディープインパクト(池江泰郎厩舎)の理化学検査で、禁止薬物のイプラトロピウムが検出されたと発表した。フランスの競馬統括機関であるフランスギャロから報告を受けた。

 JRAによると日本国内のレースには出走できる。凱旋門賞の失格など処分についてはフランスギャロ審査委員会が馬主、調教師を召喚して決める。

 理化学検査はドーピング(禁止薬物)検査に相当するもので、イプラトロピウムは気管支の拡張作用があるとされる。同馬はフランス滞在中にこの薬物を使った治療を行ったという。フランス競馬では禁止薬物に指定されているが、JRAは禁止していない

 今年限りで引退することが決まっているディープインパクトは、国内GI5勝の実績で世界最高峰レース、凱旋門賞に挑戦した。帰国後は東京競馬場で着地検疫を受けながら、29日の天皇賞・秋への出走に向けて追い切りも行っていた。

 同馬は昨年、シンボリルドルフ以来、21年ぶり2頭目の無敗のクラシック3冠馬となった。

◆池江泰郎調教師の話
 禁止薬物が検出されたことについて大変驚いており、信じられない気持ちでいっぱいです。原因が究明されていない段階ですので、コメントは控えさせていただきます。

◆武豊騎手の話
 ただただ、驚いています。内容も詳しいことも分からないので、今のところはコメントすることは控えさせていただきます。

■ディープインパクト
 父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア、母の父アルザオ。鹿毛の牡4歳。栗東・池江泰郎厩舎所属。北海道・早来町(現安平町)のノーザンファームの生産馬で、馬主は金子真人ホールディングス(株)。戦績12戦10勝(海外1戦0勝)。重賞は平成17年GII弥生賞、GI皐月賞、GI日本ダービー、GII神戸新聞杯、GI菊花賞、18年GII阪神大賞典、GI天皇賞・春、GI宝塚記念。GI凱旋門賞(フランス)に挑戦し惜しくも3着

■イプラトロピウム
 気管支の収縮を抑える作用がある薬剤。人間では気管支ぜんそくや慢性気管支炎、肺気腫などの呼吸困難の症状を和らげるのに使われる。副作用としては、急激なアレルギー反応であるアナフィラキシーのような症状が現れる場合がある。

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 気管支を拡張する薬には3種類あります。そのうち、アセチルコリンの分泌を抑制することで気管支平滑筋を弛緩させ、気管支を広げる薬が抗コリン薬と呼ばれます。副交感神経のムスカリン受容体を阻害することで作用を発現しますが、イプラトロピウムはこの、抗コリン薬に入ります。

 抗コリン薬には気道分泌物が抑制されるため、喀痰粘度が上がり、痰が排出しづらくなるといった副作用がありますが、イプラトロピウムはそのような副作用もなく、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患に用いることができます。

 人間ではイプラトロピウムを使用してもドーピングにはひっかからないようですし、日本の競馬界でもお咎めなしですが、フランスではダメ、ということで。焦点は「本当にディープインパクトはイプラトロピウムを使っていたのか?」というところにあるでしょう。馬本人には責任ありませんからね。

 最強馬の称号のまま引退しようとしているディープインパクトですが、思わぬ処で足をすくわれた形となりました。

参考:安心して使える薬(ドーピング禁止物質を含まない薬)の代表例


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posted by さじ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理
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