勃起障害(ED)患者では乾癬の既往が約4倍に上るという研究結果が、1月発行の米医学誌「Journal of Sexual Medicine」(2012; 9: 130-135)に掲載された。台湾・亜東記念医院のShiu-Dong Chung氏らが国民健康保険のデータを基に実施した研究で、同氏らは「医療者は乾癬患者のEDに注意を払わなければならない」と指摘している。
Chung氏らは、国民健康保険のデータから40歳超で2002〜09年に新たにEDと診断された4,606人(平均年齢57.4歳)を特定し、1人につき年齢層が一致した3人を対照(1万3,818人、平均年齢57.3歳)としてランダムに抽出。EDと乾癬の診断歴の関連について分析を行った。
ED群は対照群と比べ、脂質異常症(28.7%対19.9%)、糖尿病(25.1%対17.8%)、高血圧(39.8%対36.9%)、心筋梗塞などの冠動脈疾患(21.7%対17.2%)、肥満(0.9%対0.3%)の割合が高く、収入が多く、都市部に居住している傾向があった。
乾癬の診断歴があるのは全体の0.7%(136人)で、ED群は1.7%、対照群は0.4%。対照群と比べたED群の乾癬の診断歴は、3.85倍に上った。
乾癬は全身性の代謝異常や心血管障害と関連があることが分かっており、それはEDの危険因子でもある。活性酸素による一酸化窒素の不活化などを通して、メタボリックシンドローム、内皮障害、血管不全などが起こり、これらはEDや乾癬をも引き起こすと推測される。
へぇー。面白い合併症ですね。面白いとかいっちゃ失礼か。
乾癬のこと、ちょっと知っておきましょうか。
乾癬は、表皮細胞の増殖亢進と、それに伴うターンオーバー時間の短縮、Munro微小膿瘍に代表される炎症所見が病態の基盤である。
→要するに、表皮細胞が異常に増殖するけれど、ターンオーバー時間が短くなるために不完全な角化となって、なんかかさかさしたような紅斑に覆われる疾患です。ステロイド外用(内服はだめ)やビタミンD軟膏、PUVA療法とよばれる紫外線照射療法が適応となります。
ひっかいたり刺激をしたところに病変ができる「Kobner現象」(ケブネル現象)が特徴的です。
そして勃起障害や高血圧など色々なものを合併しやすいのは、↓の説明が関係しているかも?
乾癬は、発症や経過に心理社会的要因が関与する。質問紙法による調査でも、乾癬患者群では高率に心理的ストレスの介在が認められるという。そのメカニズムの1つに神経ペプチドの関与が重要視されており、局所におけるサブスタンスPの放出が乾癬の病態と密接に関連すると言われている。