東京大や独立行政法人・水産総合研究センターなどの研究グループは、サケ科サクラマスの性行動を促す性フェロモンの正体を、成熟した雌の尿に含まれるアミノ酸の一種「キヌレニン」と特定した。コイ科の研究から魚類のフェロモンは長年、生物の成長を左右するホルモンと考えられていただけに貴重な発見で、生物の繁殖の仕組み解明に役立ちそうだ。10日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
サクラマスは雌が秋の産卵期を迎えると、数匹の雄が胸ビレを激しく動かし集まってくる。研究グループが雌の排出した物質と雄への影響を分析したところ、雄が最も反応する物質がキヌレニンで、未成熟の雌の尿にはほとんど存在しないことが判明した。一方、成熟した雄のきゅう覚は成熟前に比べてキヌレニンへの感度が10万倍も高く、25メートルプールにメスが1回排尿(2ミリリットル)すれば、においをかぎわけられるほど敏感になっていることも分かった。
山家秀信・東大研究員(現・琉球大研究員)=魚類行動生理学=は「キヌレニンはヒトを含め、ほ乳類などの尿にも存在している。今後、他の生物でのキヌレニンの役割を探るとともに、サクラマスの養殖にも役立てたい」と話す。
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なんかこう、妙にエロティック。サケ科の魚って、メスが産んだ卵にオスが精子をぶっかけることで受精が起こるんでしたっけ?だとするとサクラマスも例外ではないということでしょうか。ほんの少しだけの尿の中に含まれるキヌレニンがオスを興奮させ、性行為を行う。うーん、やっぱりホルモンって凄い。
いや、ホルモンではないんでした。フェロモンというのは、体内で作られた物質を外に分泌して、他の生物に作用を及ぼすものです。ホルモンというのは体内で作られて、その生体内で作用を及ぼす物質のことを指します。ですから、「環境ホルモン」という物質、あれは実はホルモンではないんです。「環境中に存在する、ホルモンのような働きを起こす物質」の略であって、正しい名称は内分泌攪乱物質です。
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