2006年10月11日

新しい現代病、その名も「パソコン指腱鞘炎」

クリック誘発“新現代病”「パソコン指腱鞘炎」 

 パソコンと接する時間が増えたシニア世代に、“パソコン指腱鞘炎”ともいえる症状の事例が出始めている。マウスのクリックを繰り返すことにより、指の腱鞘を傷めるもので、加齢とともに指の腱鞘が硬くなっていることが発症の一因という。専門の医師は、マウスの長時間連続使用を控えるよう呼びかけるとともに、症状に気づいたときの早期の治療を促している。
 
 「パソコンが趣味」という二日市誠さん(61)は、今年3月に勤務していた会社を退社し、東京都内の学生寮の管理人として再就職をした。会社員時代よりも自分の時間ができたため、暇さえあれば、インターネットの検索機能を使って株価やニュースをチェック。トランプゲームやマージャンゲームにも熱中し、ついマウスを連続して握る時間が長くなったという。1日平均で約3時間はパソコンの前に座り、ひとさし指でマウスをクリックする動作を繰り返していた。

 ところが7月ごろから、朝になると、ひとさし指の指先が硬くなり、動かしにくい感触を覚え、鈍痛も走るようになった。整形外科で受診したところ、「腱鞘炎」と診断され、指の第3関節に注射を打つ治療を受けた。しかし、3日後には痛みが再発。9月に「東京手の外科・スポーツ医学研究所 高月整形外科」(東京)を訪れ、腱鞘を部分的に切り開く手術を受けた。

 「最近、パソコンのマウスを使う動作を繰り返すことが影響して、従来腱鞘炎にかかることがなかったはずの、ひとさし指の第2関節と第3関節の間にある腱鞘を傷める腱鞘炎が増えているようだ」と話すのは同整形外科の山口利仁医師。
 
 指の骨には間隔を置いて輪状の腱鞘が付いている。そして、指の骨に沿うように、腱が腱鞘の中をくぐり抜ける。腱はいわば操り人形のひものような役割を果たし、筋肉とともに指を動かすのには欠かせない。
 
 腱鞘炎は、手や指を使いすぎたことにより、この腱や腱鞘が腫れ、互いにこすれあって痛みを感じる病気だ。キーパンチャーやピアニストの職業病として知られるが、長時間にわたり草むしりをしたり、ペンを握ったりしても症状が起きる。その場合、親指や中指、薬指の付け根に症状が起きるのが一般的だ。
 
 ところが二日市さんの場合、従来腱鞘炎になることはないとされていた「ひとさし指の第2関節と第3関節の間」の腱鞘を傷めた。パソコンのマウスを操るときに動かす部位だ。
 
 山口医師は今年、二日市さんのほかにもう1人、同じ部分の腱鞘炎にかかった患者に施術した。この腱鞘のそばには神経や動脈が走り、手術は簡単ではないという。「いずれもパソコンのマウスクリックの繰り返しを原因とする、新しい腱鞘炎だ」と話す。
 
 □長時間使用は×

 第一生命経済研究所が8月に発表した「シニアの情報機器使用に関する調査」によると、現在パソコンを使用していない50歳以上のシニア世代のうち、44%が「今後、パソコンを使ってみたい」と回答した。大量退職を迎える団塊の世代を含め、中高年がパソコンと接する時間は今後確実に伸びていくとみられる。
 
 加齢とともに指の関節が硬くなると、腱鞘も硬くなり、腱鞘炎になりやすくなるといわれ、山口医師は「(中高年がパソコンと接する時間が長くなるとともに)今後、過度のマウスクリックによる腱鞘炎患者は増える可能性がある」と予測する。特に二日市さんが腱鞘炎になった部位は、これまで、あまり知られていなかっただけに、病院に行っても見逃される恐れもあり、注意が必要だ。山口医師によると、早期の適切な診断があれば、注射での治療も可能という。
 
 山口医師は(1)マウスを長時間連続しようしない(2)少しでも自覚症状があれば、早めに診察を受けるよう呼びかけている。

 ■中高年の女性は携帯メールも注意

 中高年、とりわけ女性の場合、携帯メールに夢中になりすぎないよう注意が必要だ。「特に出産後や更年期の女性は、女性ホルモンの低下により腱鞘が硬くなる携帯メールを打ちすぎると親指の腱鞘炎を起こしやすくなります」と山口医師。携帯メールといえば若い女性にヘビーユーザーが多いが「若い人は、軽い腱鞘炎になっても一晩寝れば回復します」と話している。

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 はー、これは誰もが予期していなかった新しい疾患ではないでしょうか。パソコンを使うと指の運動になるから脳にもいいとか何とか言われていた時代から一転、腱鞘炎を引き起こすようになるとは。確かにマウスクリック数ってばかになりません。この記事を編集するだけでも100回はクリックしていると思います。キーボードで文章を打てば更に腱を痛める結果に。

 若者は心配ないでしょうが、高齢者ユーザーはご注意を。何事も、ほどほどが一番です。
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posted by さじ at 23:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護
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