臓器移植をめぐり、国内での臓器提供者(ドナー)の不足から、海外で移植を受ける患者が増えている。近年はその多くが中国に渡っており、年間100人を超えるという。中国で腎肝同時移植を受けた札幌市の男性(63)が読売新聞の取材に応じ、「渡航移植」の実態を証言した。
男性は20代半ばに腎炎を発症。1989年、母親から腎臓の生体移植を受けたが、3年前に再び悪化した。肝機能も低下し、主治医から「肝臓は移植しないと助からない」と告げられた。
「移植ネットワークに登録しても、いつ順番が回ってくるかわからない」。そう聞いた男性は、中国・天津の病院で移植手術を受けるため、総額1300万円の費用を振り込み、昨年12月、現地に飛んだ。
手術後、原因不明の高熱が続いたが、医師は「問題ない」と繰り返すばかり。薬を求めると「近くの薬局で買え」と言われ、不安にかられた男性は自ら退院、今年1月に帰国した。現在は仕事も再開。体調にとくに不安はない。「危険な賭けだったが、とても感謝している」と語る。
中国では、移植に用いる臓器の大半は死刑囚からの摘出といわれる。だが、ドナーが誰なのか、男性には明かされなかった。「死刑囚の臓器、とも思った。でも、だからといって移植をやめられるだろうか」
男性は繰り返す。「ここまでして患者は海外に向かわなければならない。自国の患者を救えない移植医療とは、いったい何なのか」
日本臓器移植ネットワークによると、脳死・心停止後移植を待つ腎臓病患者は約1万1649人(10月2日現在)いるのに対し、昨年1年間に行われた脳死・心停止後移植は160件(生体腎移植を含めると994件)に過ぎない。
中国での移植は、手術費が比較的安いなどの理由で増加した。インターネットで患者を募る仲介機関もあり、患者が直接申し込める簡便さも、「中国志向」に拍車をかけている。しかし、法外な費用をとる仲介業者も多く、手術中に死亡するケースもある。免疫抑制剤の過剰投与という問題も指摘されている。
渡航移植を支援している大阪府内の団体によると、瀋陽や北京、上海などで手術を受ける患者が多く、瀋陽の病院は年間約100人の日本人に施術。費用は腎臓で600万円、肝臓は1000万円が相場という。
厚生労働省の調査研究班が4月にまとめた調査結果では、これまでに少なくとも522人が海外で臓器移植を受けたが、渡航移植の実態は不明で、日本移植学会は専門委員会を設けて調査に乗り出している。
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続報です。
医学処 腎臓移植事件で本当に悪いのは誰なのか
1300万円で腎臓と肝臓を移植できるなら、私でも行きますね。臓器を得られるまでの時間を考えれば安すぎるほどだと思います。
中国でも恐らく死刑囚から臓器をとることが問題視されているのではないでしょうか?それを助長しているのが日本で、その日本では臓器移植が全然進んでない。というか進めようともしていない。何故こんな重要なことが政治家の間で審議されないんでしょうか。まったくもって理解不能ですねぇ。
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