タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児(2)の出生届を、東京都品川区が不受理としたことを巡る家事審判の即時抗告審で、東京高裁は不受理処分の取り消しを命じる決定をした。決定は29日付。南敏文裁判長は決定理由で、「(向井さん夫妻が)法律的な親として養育することが、子供の福祉に最もかなっている」と述べた。
向井さん自身も29日、自らのブログで明らかにした。法務省は代理出産で生まれた子を実子とは認めない方針で、高裁の判断は生殖医療を巡る論議に影響を与えそうだ。
南裁判長はまず、「民法は自然懐胎のみの時代に制定された。現在は人為的な操作による懐胎や出産が実現されるようになった」と述べ、「法制定時に想定されていなかったことで秩序の中に受け入れられない理由にはならない」とした。
その上で、向井さん夫妻が双子を実子として養育することを望み、代理母側はそれを望んでいないと指摘。「子らは法律的に受け入れるところがない状態が続く。(向井さん夫妻を)法律的な親と認めることを優先すべきで、子の福祉にもかなう」と出生届の受理が妥当との考えを示した。
代理母契約の是非についても言及。「明らかに禁止する規定は存在しないし、代理妊娠を否定する社会通念が確立されていると言えない」と述べた。契約の根拠となった米ネバダ州法が代理母の尊厳を傷つけるような過剰な対価を禁じ、精子と卵子が向井さん夫妻のものである点や子宮摘出というやむをえない事情があることも考慮した。
向井さんは00年に子宮がんで子宮摘出手術を受けた。高田さんとの受精卵を米国人女性に移植して出産してもらう代理出産で、03年11月に双子の男児が誕生。品川区は法務省の意向も踏まえ双子の出生届を受理しなかった。夫妻は処分取り消しを東京家裁に申し立てたが昨年11月に却下され、即時抗告していた。
代理出産の出生届をめぐっては、関西地方に住む50代の夫妻が不受理処分の取り消しを求めた審判で、最高裁が05年、夫妻の抗告を棄却した。夫妻は米国人女性から卵子の提供を受けて夫の精子と体外受精させ、別の米国人女性の体内に着床させて子をもうけた。
最高裁は出生届を認めなかった高裁の判断を「是認できる」とした。ただ、「正当」という評価は避け、向井さんのように卵子は自分のものだった場合などで代理出産を認める余地を残したとされる。
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うん、これは天晴れ。法律なんて現状に追いつかないのが当たり前なんだから、その時その時の状況で判断するしかない。法務省としては法律の厳格性を損なうわけにはいかないから「法律至上主義」なスタンスで振舞えばいいと思います。だが、下される判決は臨機応変でなければならない。
今回の場合は、子供を第一に考えるべきで、そこには法律とか、大人の事情とか、そんなんどうでもいいハズ。たとえ法律から逸脱しても子供が一番「育ちやすい」環境を、全ての国民が作らねばならない。つーわけで裁判官は非常に良識ある判決を下したと思うのでGood Job。逆に法務省や品川区は悪者扱いされてるだろうけど、彼らは彼らで自身のやるべきことを忠実に行っているだけなので責められるものではないと思う。