日本胸部外科学会(松田暉理事長)は、食道がん、肺がん、心臓病の手術に関し、手術の数が多い病院ほど患者の死亡率が低いとする全国調査の結果をまとめた。厚生労働省は手術件数によって診療報酬に差をつける制度を今年4月に廃止したばかりだが、手術数と治療成績の相関関係を示すデータが示されたことで、今後の診療報酬の議論に影響を与えそうだ。
調査は全国747の病院の、00〜04年の約42万件の症例を分析した。 食道がんの手術では、年平均手術数が25未満の716病院の平均死亡率(入院中に死亡した患者の割合)が6.5%だったのに対し、手術数が75以上の6病院は1.6%だった。25未満の病院では死亡率が20%を超えたところもあった。
肺がん手術は、年平均手術数が10未満の病院の平均死亡率(術後30日以内に死亡した患者の割合)は1.6%だったが、150以上の病院は0.3%。心臓病でも、年間手術数100以上の病院の平均死亡率(同)は、25未満の病院の約2分の1だった。
今回の調査は、病状の重さの違いで死亡率に差が出ることを考慮していないが、同学会は「調査数が非常に多いため、各病院の患者の平均的な病状に大きな差はないと考えていい」としている。
厚労省は02年度、手術件数が基準に満たない病院の診療報酬を3割削減し、特定の病院への手術の集約化を促す仕組みを導入した。しかし、中央社会保険医療協議会(中医協)が「手術数と治療成績が相関するとはいえない」との検証結果をまとめたため、今春、廃止した。中医協は今年7月に新たな検討会を立ち上げており、病状の重さも考慮した詳しい調査を近く実施する。
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うーん、病状の重さの違いを考慮していないって。そんなデータ意味ないんじゃないのかとすら思ってしまうのですが。
手術数の多い病院はそれ専門にやっていると考えられませんかね。だとすると早期の手術適応例が多いのではないでしょうか。手術適応な疾患といえども、早期のものとそれ以外とでは5年生存率で大きく差が出ます。手術例の少ない病院は、総合病院ゆえに発見が遅れるという可能性は?患者のほうも「なんか調子悪くて病院きました」という人(既に進行してしまっている人)が多いのではないでしょうか。対してそれ専門でやっている「外科病院」ではこなす件数も多い分、早期のものも多いと考えるのが普通でしょう。統計的に。
Stage分類すら考慮しないで「専門の病院のほうが助かるよ」とするのはいささか軽率すぎやしないか、というお話。
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