環境省のレッドデータブックで絶滅危惧T類に指定されているニシキギ科の希少植物ヒゼンマユミの実に、がん細胞の増殖を抑える効果があることが、徳島文理大学の橋本敏弘教授(生薬学)らのグループの研究で分かった。19日に筑波大学で開かれる学会で発表する。
グループは、ヒゼンマユミの実から抽出した8種類の化合物に、ヒト肺がん腫瘍細胞株、ヒト子宮頸部がん細胞株、口腔扁平上皮がん細胞株をそれぞれ加え、がん細胞の生存率を調べた。
その結果、8種類の化合物のうち、2種類は全てのがん細胞、2種類は肺がん腫瘍細胞のみ、1種類は口腔扁平上皮がん細胞のみにおいて、それぞれ増殖を抑制する効果があった。グループは今後、実用化に向けた研究も進めたいという。
抽出した8種類の化合物のうち、7種類は今回初めて見つかった新規化合物で、橋本教授は「ほかの病気への応用も期待できる。葉や根の研究も進めて効果を検証したい」と話している。
ヒゼンマユミは、阿南市伊島の西部にある棚子島など国内3カ所のみで自生する。橋本教授は2010年1月、ヒゼンマユミの実と苗木1本を譲り受け、同大植物園で栽培している。
古来より人間は植物の恩恵に与っていますが、未だに植物が宝の山であることに代わりはないようで、続々と抗がん剤などのヒントが植物から得られていますね。