2006年09月24日

慶應大学の医学生、中南米を歩く。

慶大医学生 中南米3か国巡回

 慶応大学の医学生3人が、中南米の辺地医療の現場を49日間にわたって巡回し、今月帰国した。日本とかけ離れた環境に身を置くという貴重な体験をした医者の卵3人は、世界の医療の多様性に目を開かれ、「医の原点」を学んだ。

 この派遣団は、慶応大の国際医学研究会が1978年の創立以来、毎年、医学部6年生を中南米などに送り出しているもの。国際社会に通用する医師の育成が目的だ。

 第29次となった今年の団員は、石田隆さん(24)、原口水葉さん(24)、菅間剛さん(24)の3人。自分たちで交渉し、まとめた計画に従って、7月17日〜9月3日の49日間、ホンジュラス、キューバ、ブラジルの3か国8か所を訪れた。

 ホンジュラスでは、都市部で高校生のエイズに対する意識調査などを行った。この結果は帰国後まとめる報告書で発表する予定だ。

 その後、山岳部の貧しい村を訪れた。6畳ほどの居室で家族12人が暮らす生活ぶりに、3人は大きな衝撃を受けた。かやぶき屋根や土壁には、シャーガス病という感染症を媒介するサシガメが潜んでおり、国際協力機構(JICA)が3年前から対策プロジェクトを実施している。

 3人はプロジェクトに参加し、住民意識や家屋の調査を行った。菅間さんは「識字率は低く、医学知識を持った人もいない。医療以前に、教育が大事ではないかと感じた」と話す。

 キューバでは、社会主義国の医療を見るのが目的。中国との関係を生かし、はり・きゅうや太極拳を取り入れたり、電気療法やオゾン療法といった西洋医学にはない医療を試みていた。「豊かではないが、医学には力を入れている」(石田さん)印象だった。

 派遣団が必ず訪れるのがブラジル。例年同様、アマゾン川の巡回診療船に同乗して、経口ポリオワクチンの投与や身体測定を手伝った。医療チームを組んで定期的に辺地を訪れ、住民の健康管理にあたるという手法は、ほかの途上国にも参考になると感じた。

 「視野が狭い医者になるのが怖かった」と参加した動機を語る原口さん。「知らない世界を見たことは、今後、ほかの国とかかわる時、自分に何ができるかを考える基盤となると思う」と今回の体験を振り返った。

 石田さんは「電気も水道もない先住民の村を訪れた時、自分たちが『何かを与えてくれる』存在として見られているのを感じた」という。「価値観の違いを尊重し合い、地域に根ざした活動を目指すことが大事だと気づかされました」

 貴重な経験を積んだ3人は来春にも、医師として医療の最前線に立つ。

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 いくら本を読んでも、こればかりは行ってみないと始まらないという「経験」が存在します。特に海外などまさにその典型例でしょう。インドなどの、同じ地球上でも文化圏の異なる場所に行くのは有益なことです(本人の吸収しようという姿勢に左右されますが)

 医療の場だけでなく、人生に於いても応用してほしいですね。生かすも殺すも本人次第です。

関連:医学処 何故あなたは医学部を受験するのですか
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posted by さじ at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学
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